2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌化学療法における経口フッ化ピリミジン系代謝拮抗剤の適正使用に関する研究
Project/Area Number |
20590144
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西口 工司 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (80379437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栄田 敏之 京都大学, 薬学部, 教授 (00304098)
平井 みどり 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (70228766)
南 博信 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (60450574)
田村 孝雄 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (80324929)
山森 元博 京都大学, 薬学研究科, 助教 (10444613)
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Keywords | 大腸癌 / がん化学療法 / フッ化ピリミジン系 / 代謝拮抗剤 / 適正使用 |
Research Abstract |
前年度、文書による同意が得られた進行・再発大腸癌患者10名を対象として、FOLFIRI療法中の5-FU持続静注/LVからUFT/LV反復経口投与に置き換えた場合の臨床評価を実施した。その結果、5-FU持続静注/LVからUFT/LV反復経口投与への置き換えは、有効性ならびに安全性において同等であることを明らかにし、大腸癌化学療法施行患者のQOLを高める上で有用な選択肢の一つとなる可能性が示唆された。 一方、大腸癌化学療法における標準的プロトコールの多くは、5-FUの急速静注と、引き続いて行われる12日間にわたる5-FU持続静注を中心として構築されている。5-FUの急速静注については、有用性の検証のみならず安全性についてもさらに不安が残るなど、その必要性が明らかにされていないのが現状である。したがって、進行・再発大腸癌患者の化学療法における5-FU急速静注の必要性を明らかにした上で省略することができれば、大腸癌化学療法施行患者のQOLを高める上で非常に有益である。そこで今年度は、5-FU急速静注の省略が可能か否かを明らかにする目的で、前年度に採取した患者試料ならびにデータから得られるUFT血漿中濃度推移をもとに5-FU急速静注の必要性を検討した。 前年度と同様に文書にて同意が得られている進行・再発大腸癌患者10名に対して「CPT-11+5-FU急速静注+UFT/LV療法」あるいは「CPT-11+UFT/LV療法」をクロスオーバーにて施行し、5-FU、テガフールならびにウラシルの血漿中濃度をHPLCにて測定した。得られた血漿中濃度を解析した結果、定常状態において5-FU血漿中濃度に対する5-FU急速静注の影響が大きいことを明らかにすることができた。このことは、治療上有効な5-FU血漿中濃度を確保するためには、UFT/LV反復経口投与のみでは不十分である可能性を示唆しているものと考えられる。したがって、5-FU持続静注からUFT経口投与への切り替えは可能であるものの、5-FU急速静注は省略できないことを薬物動態学的視点から明らかにすることができた。
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