2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590145
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
檜垣 和孝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60284080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 聰城郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特命教授 (10025710)
大河原 賢一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30291470)
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Keywords | セロトニン / P-糖タンパク質 / クロルギリン / セロトニン症候群 / 刷子縁膜 / トラフィッキンク / 腸神経系 / 小腸粘膜 |
Research Abstract |
腸神経系による薬物吸収制御に関する統合的解析を進める中で、今年度は、引き続き、体内に存在する総量の約90%が小腸粘膜のクロム親和性細胞に存在し、消化管ホルモンとして、また腸神経系の神経伝達物質として小腸の機能制御に深く関わっているセロトニンに焦点を絞り検討を進めた。昨年度、作製したセロトニン症候群モデルラットにおいて、小腸粘膜におけるP-糖タンパク質の活性が顕著に亢進していることを見出したが、本年度は、その機構について検討を進めた。即ち、セロトニン及びセロトニンの主要代謝酵素モノアミンオキシダーゼA(MAO-A)の選択的阻害剤であるクロルギリンをラットに4日間腹腔内投与することによりセロトニン症候群モデルラットを作製し、摘出した小腸より粘膜を剥離し、粘膜ホモジネート中、更に精製して得た刷子縁膜画分中に発現しているP-糖タンパク質をWestern blot法により定量的に評価した。その結果、P-糖タンパク質の発現量は、粘膜ホモジネート中では、コントロールの約1.7倍、刷子縁膜画分中では約3倍に増大していることが明らかとなった。一方、セロトニンのみを投与したラットの小腸では、粘膜ホモジネート中発現量には有意な変化は見られず、刷子縁膜上のP-糖タンパク質が約2倍に上昇することが明らかとなった。また、クロルギリンのみを処理したラットでは、粘膜ホモジネート、刷子縁膜ともに、P-糖タンパク質の発現量には変化は見られなかった。これらの結果は、セロトニン症候群時における、P-糖タンパク質の生合成量の増加、また生合成されたP-糖タンパク質の刷子縁膜へのトラフィッキングの増大を示唆するものであった。トラフィッキングの増大については、セロトニンによる5-HT_4受容体の刺激を介したcAMP上昇が関与している可能性が考えらた。
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