2009 Fiscal Year Annual Research Report
タクロリムスの皮膚適用後の皮膚内動態と表皮構造の関係に関する研究
Project/Area Number |
20590152
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
関 俊暢 Josai University, 薬学部, 教授 (60196946)
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Keywords | 皮膚内薬物動態 / 人工皮膚モデル |
Research Abstract |
平成21年度については、前年度に確立した人工皮膚モデルを用い、タクロリムスおよび比較のためのモデル薬物であるフルルビプロフェンの透過過程に及ぼすタンパク結合の影響を検討した。その結果として、フルルビプロフェンにおいてアルブミン(ウシ、BSA)の存在下、その透過プロファイルと膜内濃度推移が大きく変化したのに対して、タクロリムスでは、BSAの存在による透過の変化は少なく、α1酸性糖タンパクの存在により透過の変化が観察された。すなわち、膜中にα1酸性糖タンパクが存在していると、タクロリムスがそれに結合し、膜中濃度の上昇と透過の遅延が観察されることが示された。この結果は、タクロリムスがアルブミンよりα1酸性糖タンパクに結合しやすいという報告と一致しており、薬物の透過性がそのタンパク結合性における特徴を反映した形で変化するということを示した新規知見であり、大変意義があるものと思われる。平成20年度からのフルルビプロフェンを用いた人工皮膚モデルに関する研究成果については、雑誌AATEXに投稿し、審査の後すでに掲載されている。タクロリムスのタンパク結合性と炎症模倣膜における透過性の関係については、日本薬学会第130年会にて発表している。現在、人工皮膚モデルに人工血管を組み込んだ発展型人工皮膚モデルの検討を開始しており、血流速度が変化した場合における透過動態の変化の再現を試み、有効な知見が得られつつある。さらに、培養細胞を用いた人工血管を含む3次元培養皮膚モデルについても検討を開始しており、細胞外マトリックス中における薬物及び薬物結合タンパク質の動的挙動の解析についても準備ができつつある。
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Research Products
(2 results)