2010 Fiscal Year Annual Research Report
Th1/Th2バランスの破綻として捉える薬剤性肝障害
Project/Area Number |
20590157
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
桝渕 泰宏 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (10209455)
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Keywords | 副作用 / 薬剤性肝障害 / Th1/Th2 / マウス / アセトアミノフェン / N-フセチルシステイン / インターロイキン-6 / グルタチオン |
Research Abstract |
薬剤性肝障害発症過程におけるTh1/Th2反応の役割を明らかにするため、マウス薬剤性肝障害モデルを構築し、Th1/Th2反応の推移との対応を検討した。薬剤性肝障害モデルとしてアセトアミノフェン(APAP)に加えて、本研究で確立したフロセミド(FS)モデルを用いた。APAP誘発肝障害に関連して、過量摂取時の中毒解毒剤としてN-アセチルシステイン(NAC)が臨床使用されており、NACはグルタチオン(GSH)の前駆物質として働くとされるが、他の作用機序の重要性も示唆されている。今回、APAP投与による肝GSHレベルの低下に対して効果の異なるNAC、GSH、同エチルエステル(GSH-EE)ならびにシステイン(CYS)を用いて、APAP誘発肝障害に対する防御効果を比較し、肝GSHレベルに対する効果との関連を調べた。APAP肝障害に対して十分な防御効果が得られるNAC投与量と同量のチオール化合物をAPAPと併用投与したところ、いずれもAPAP肝障害を顕著に抑制した。用いたチオールのうち、GSH-EEのみがAPAPによる肝GSHの枯渇をほぼ完全に防御した。GSH自身の投与では肝GSH量の増加には至らなかった。肝GSHに対してはNACの効果も不完全で、CYS投与に比べても効果は弱かった。APAP投与による肝障害発現に先立って種々のサイトカイン肝発現レベルが増加するが、防御に働くと考えられるインターロイキン-6がNACあるいはGSH併用によりさらに増加した。また、GSHの枯渇を伴わないFS誘発肝障害に対してもこれら2種のチオールは防御効果を示したことから、NACとGSHはTh1/Th2改善することにより肝障害を防御することが示された。以上、外因性チオールによる防御機構を検討する中で、Th1/Th2バランスの破綻が肝障害発症段階で重要な意味を持つことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)