2009 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤関門のダイナミクスを制御するトランスポーター-エズリン複合体
Project/Area Number |
20590158
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
崔 吉道 Kanazawa University, 附属病院, 准教授 (40262589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (40453518)
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Keywords | トランスポーター / 胎盤関門 / トロホブラスト / 異物認識 / 妊娠時薬物療法 / 薬物間相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、胎盤関門の異物認識の分子基盤となるトランスポータータンパク質複合体の解明および妊娠経過に伴うその制御因子、発現及び機能変動を解明することを目的として、胎盤関門の実体である合胞体性栄養膜細胞(シンシチオトロホブラスト)のapical細胞膜に着目し、また、トランスポーター複合体の制御因子として、エズリンに焦点を当てた。本年度は、計画を前倒しして、慶應義塾大学先端生命科学研究所の曽我朋義教授の協力を得て、CE-TOF-MSを用いたメタボロミクス解析を行った。エズリン欠損マウスのヘテロマウス(Ez+/-)を交配し、Ez-/-、Ez+/-、Ez+/+の同腹仔を得て、母体血濃度同一条件下で胎盤および胎児血について、エズリン欠損により減少あるいは増加する低分子有機化合物を網羅的に解析し、エズリン欠損により影響を受ける輸送系(トランスポーター複合体)を探索した。その結果、体内でのシステインからタウリン生合成の中間物質で律速段階にあるヒポタウリンが胎盤および胎児血の両方で顕著な減少傾向が見られた。このことから、胎盤関門にヒポタウリン輸送系が存在し、エズリンによる制御を受けている可能性が示唆された。胎盤関門細胞株TR-TBTsを用いたin vitro薬物輸送活性の解析の結果、胎児移行性が低く妊婦に使用される抗菌薬であるエリスロマイシンを基質としてプロトンと共役して胎児血から母体血方向に効率的に輸送する排出システムが存在することが示された。エリスロマイシン輸送系がエズリンによる制御を受けるか否かについては今後の課題である。エズリンは男性生殖臓器である精巣内における局在性も明らかにすることができた。来年度は、エズリン欠損動物を用いた研究では胎盤関門の薬物輸送に対する影響について、細胞株を用いた研究ではタウリン、ヒポタウリンおよびエリスロマイシン輸送のメカニズムについて更に解明して行く予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
崔吉道
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Journal Title
スタンダード薬学シリーズ6、薬と疾病、IB. 薬の効くプロセス (2) 薬剤 (第2版)(東京化学同人)
Pages: 57-59
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