2009 Fiscal Year Annual Research Report
内因性コルチゾールのリンパ球感受性に基づくステロイド減量・離脱に関する研究
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20590159
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
竹内 裕紀 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 准教授 (20439912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90173252)
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Keywords | コルチゾール / リンパ球感受性 / ステロイド離脱 / 腎移植 / メチルプレドニゾロン / シクロスポリン / タクロリムス / バイオマーカー |
Research Abstract |
【内容】前年度の腎移植後患者30例の結果後、さらに症例数を追加し、計44例のおけるコルチゾールのリンパ球感受性および服用ステロイド剤であるメチルプレドニゾロン(MPSL)と臨床成績の関係を調査した。リンパ球感受性はリンパ球増殖を50%抑制する薬剤濃度(IC_<50>)として求め、IC_<50>と離脱・減量前後における腎機能(S-Cr、BUN)の関係をレトロスペクティブに調査した。症例数を増やした結果においてもコルチゾールのIC_<50>が低い患者では、S-Crが上昇する患者の割合が有意に低かった。またコルチゾールと同様にMPSLのIC_<50>が低い患者では、離脱後にS-Crが上昇する患者の割合が有意に低かった。さらに服用しているカルシニューリン阻害薬(CNI)であるシクロスポリン(CyA)とタクロリムス(Tac)服用患者間におけるコルチゾール、およびMPSLのIC_<50>はTac服用患者で有意に低かった。 【意義・重要性】 症例数を増加しても前年度の報告と同様の結果であり、リンパ球の対するコルチゾール感受性がステロイド薬を安全に離脱できる患者を選択できる指標になる可能性がある。また、服用ステロイドであるMPSLの感受性の高い患者も同様にステロイドを安全に離脱・減量できる可能性がある。これは服用ステロイドの感受性が高いため、より減量ができ、かつ内因性のコルチゾールの感受性が高いことにより、減量・離脱した服用ステロイドの代替がコルチゾールにより行われやすいことが考えられる。またCyAとTacのステロイド感受性の違いは、ステロイド受容体周辺タンパクとして、CyAと結合するCyp40と,Tacと結合するFKBP51・FKBP52が存在し、CyA、Tacは、これらに作用するため、ステロイド感受性に影響を与える可能性がある。現在健常者で基礎的検討を始めた。TacはFKBP51と結合することにより感受性を高めることが考えられ、ステロイドを併用している場合、離脱も含めCNIとしてはTACがより有用である可能性がある。
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[Presentation] 腎移植患者における内因性コルチゾールのリンパ球感受性に基づく早期ステロイド減量・離脱の可能性2010
Author(s)
秋月宗剛, 竹内裕紀, 平野俊彦, 松野直徒, 木原優, 今野理, 城島嘉麿, 赤司勲, 濱耕一郎, 中村有紀, 岩本整, 葦澤龍人, 川口崇, 虎石竜典, 奥山清, 長尾桓, 畝崎榮
Organizer
第130回日本薬学会
Place of Presentation
岡山
Year and Date
2010-03-28
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