2010 Fiscal Year Annual Research Report
内因性コルチゾールのリンパ球感受性に基づくステロイド減量・離脱に関する研究
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20590159
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
竹内 裕紀 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (20439912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90173252)
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Keywords | コルチゾール / リンパ球感受性 / ステロイド離脱 / 腎移植 / メチルプレドニゾロン / バイオマーカー |
Research Abstract |
【内容】長期経過安定期の腎移植患者44例におけるコルチゾール(COR)および服用ステロイド剤メチルプレドニソロン(MPSL)のリンパ球感受性と臨床成績の関係を調査した結果では、CORおよびMPSLのIC50が高い、すなわち低感受性の患者では、減量離脱後に血清クレアチニンが上昇する患者の割合が有意に高かった。今年度は移植後早期患者におけるCORおよびMPSLのリンパ球感受性(IC50)を移植前、移植後2ヶ月で実施し、移植後2ヶ月でのステロイド早期離脱患者の臨床成績を調査した。26例に感受性試験を実施したが、そのうち、観察期間が経過し臨床成績を調査できた7名においては、CORおよびMPSL感受性との関係は、現症例数では認められていない。【意義・重要性】長期経過腎移植患者ではリンパ球の対するCORおよび服用ステロイドのMPSL感受性が、ステロイドを安全に離脱できる患者を選択できる指標になる可能性を示した。しかし、早期移植患者では、現在のところ関係が認められていない。この原因として、1つには当該施設での移植実施数が予定より少なかっため、適切に統計解析できる症例数まで達していないことにある。もうひとつの要因として、移植後初期には多量の免疫抑制薬を服用しており、ステロイド感受性が、その影響を受けている可能性がある。早期患者においては感受性試験は当初予定に近い症例数26例に実施したが、臨床成績を判定する離脱後6か月後までに至った症例数が7例と少なかったため、臨床経過を判定する期間経過後に解析を行う予定であるが、多量の服用免疫抑制薬がステロイド感受性に影響を与えていることが明らかになれば、ステロイド離脱のための感受性試験は、移植後早期では適さない可能性が考えられる。しかし、長期経過患者では、より安全にステロイド離脱するための有効な手段になる可能性がある。さらに計画外の成果として、タクロリムス(TAC)服用患者ではシクロスポリン(CYA)服用患者に比べ有意にCOR、およびMPSLのIC50が低く、感受性が高かった。このTACとCYA服用患者間のステロイド感受性の違いは、ステロイド受容体複合体タンパクとして存在するCNI結合蛋白が感受性に影響を与える可能性が考えられ、現在、検討を始めた。CNIの違いよりステロイドの感受性が異なれば、併用療法における至適CNIが明らかになる可能性がある。
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[Presentation] 腎移植患者のステロイド減量・離脱におけるステロイドのPBMC感受性の有用性2010
Author(s)
竹内裕紀, グリミルムヒタル, 岩本整, 中村有紀, 濱耕一郎, 虎石竜典, 平野俊彦, 秋月宗剛, 川口崇, 畝崎榮, 島津元秀
Organizer
第37回臓器保存生物医学会学術集会
Place of Presentation
新潟
Year and Date
2010-11-19
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[Presentation] Differences of Lymphocyte Sensitivities to Steroids between Patients Administered Tacrolimus and Cyclosporine after Renal Transplantation2010
Author(s)
Hironori Takeuchi, Muhetaer Gulimire, Sougo Akizuki, Koichiro Hama, Yuki Nakamura, Hitoshi Iwamoto, Tatsuto Ashizawa, Tatsunori Toraishi, Sachiko Tanaka, Takashi Kawaguchi, Kiyoshi Okuyama, Takao Akashi, Toshihiko Hirano, Motohide Shimazu, Sakae Unezaki
Organizer
70th International Congress of International Pharmaceutical Federation
Place of Presentation
Lisbon, Portogal
Year and Date
2010-08-29
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