2010 Fiscal Year Annual Research Report
Fc受容体との相互作用に着目したTNF阻害抗体医薬の生物学的特性に関する研究
Project/Area Number |
20590167
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
石井 明子 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (50291117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 琢雄 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 主任研究官 (10415466)
多田 稔 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 研究員 (50506954)
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Keywords | 抗体医薬品 / Fc融合タンパク質医薬品 / TNF / Fc受容体 / FcRn / FcγR / 血中半減期 / バイオ医薬品 |
Research Abstract |
【目的】現在までに関節リウマチ等を対象として日米欧で5種類のTNF阻害抗体医薬品が承認されており、その使い分けが臨床現場での新たな課題となっている。本研究では、課題解決に向けた薬学的見地からのアプローチの一つとして、これらTNF阻害薬のPK/PDを考える上で重要なFc受容体との相互作用特性に着目した解析を行っている。本年度は、臨床応用されている抗TNFα抗体医薬品と可溶性TNFαとの複合体形成に着目し、抗原-抗体複合体形成能の差異がFcγR活性化に及ぼす影響について検討を行った。 【方法】抗TNFα抗体Infliximab(IFX)、Adalimumab(ADM)、Golimumab(GOL)とTNFαを混合して抗原-抗体複合体を形成させ、動的光散乱法により複合体の推定分子量を算出した。また同様の複合体をFcγR発現細胞に添加し、FcγRへの結合能およびIL-2の分泌を指標とした免疫エフェクター細胞活性化能を測定した。 【結果および考察】3つの抗TNFα抗体は共存するTNFα量の増加に伴って分子量100万以上の巨大な複合体を形成し、その複合体形成能はIFX>GOL>ADMであった。一方、細胞表面に発現するFcγRへの結合はTNFα量に依存して3つの抗体で一様に増加し、差は認められなかった。しかしながら同条件において、抗原-抗体複合体によるFcγR発現細胞の活性化能はIFX>GOL>ADMの順で強く、複合体形成能と相関を示した。これらの実験結果は、抗TNFα抗体の抗原-抗体複合体の形成様式が、FcγRを介した免疫エフェクター細胞の活性化能に関与する可能性を示唆している。FcγRの活性化は、抗体医薬品の血中からの消失やインフュージョン反応の発生と関連している可能性があることから、抗原との複合体形成様式が各抗TNFα抗体医薬品を特徴づける重要な指標の一つであると考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Genetic polymorphisms of FCGRT encoding FcRn in a Japanese population and their functional analysis.2010
Author(s)
Akiko Ishii-Watabe, Yoshiro Saito, Takuo Suzuki, Minoru Tada, Maho Ukaji, Keiko Maekawa, Kouichi Kurose, Nahoko Kaniwa, Jun-ichi Sawada, Nana Kawasaki, Teruhide Yamaguchi, Takako Eguchi Nakajima, Ken Kato, Yasuhide Yamada, Yasuhiro Shimada, Teruhiko Yoshida, Takashi Ura, Miyuki Saito, Kei Muro, Toshihiko Doi, Nozomu Fuse, Takayuki Yoshino, Atsushi Ohtsu, Nagahiro Saijo, Tetsuya Hamaguchi , Haruhiro Okuda, Yasuhiro Matsumura
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Journal Title
Drug Metab.Pharmacokinet.
Volume: 25(6)
Pages: 578-587
Peer Reviewed
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