2009 Fiscal Year Annual Research Report
カニクイザル大脳の正常発生過程における脳溝・脳回の形成~7tesla MR画像を用いた定量的解析~
Project/Area Number |
20590176
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Research Institution | Tsukuba International University |
Principal Investigator |
澤田 和彦 Tsukuba International University, 医療保健学部, 教授 (10284324)
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Keywords | サル / 大脳 / 脳溝 / 脳回 / MRI / 胎仔 / 霊長類 / 系統発生 |
Research Abstract |
本研究は、高分解能を有する7tesla MRI装置を用いて取得したMR画像を元に、サル大脳の正常発生過程における脳溝・脳回の形成の詳細とその左右非対称性を明らかにすることを目的とする。平成21年度は、MR画像を基に定量的解析を行い、以下の成果を得た。 1. 脳溝形成頻度(gyrification index;GI):脳溝形成の定量的指標であるGIの計測を行った。GIは胎齢120日までは一次脳溝の形成を、胎齢120日以降は一次脳溝の発達と二次脳溝の形成をそれぞれ反映して増加し、GI分布パターンは胎齢150日までに成獣型を示した。また、GIは大脳、大脳皮質および大脳白質の体積と高い相関を示した。以上の結果から、カニクイザル胎仔における脳溝形成は大脳皮質だけでなく、皮質下の白質線維の発達と深い関係をもち、胎齢150目までに成獣型の脳溝パターンを示すことが明らかになった。 2. 脳溝形成と大脳内部構造の形成との関係:胎齢70日の大脳内部構造では脳室周囲にgerminal matrixが多く残存し、側脳室もoccipital vesicleをもつ未成熟な形態を呈した。側脳室は胎齢90~100日にoccipital vesicleが閉じることによって形態的に成熟し、これに並行してgerminal matrixが胎齢140日までに消失した。同様の変化は各構造の体積の変化によっても確認できた。volume rendering法による三次元構築では、胎齢90~100日で鳥距溝の溝が深くなることに伴い、occipital vesicleが押しつぶされる様に閉じていた。以上の結果から、カニクイザル胎仔大脳において鳥距溝の形成と相関して側脳室が形態的に成熟することが明らかになった。
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