2010 Fiscal Year Annual Research Report
カニクイザル大脳の正常発生過程における脳溝・脳回の形成~7tesla MR画像を用いた定量的解析~
Project/Area Number |
20590176
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Research Institution | Tsukuba International University |
Principal Investigator |
澤田 和彦 つくば国際大学, 医療保健学部, 教授 (10284324)
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Keywords | サル / 大脳 / 脳溝 / 脳回 / MRI / 胎仔 / 霊長類 / 系統発生 |
Research Abstract |
本研究は、高分解能を有する7tesla MRI装置を用いて取得したMR画像を元に、サル大脳の正常発生過程における脳溝・脳回の形成の詳細を明らかにすることを目的とする。平成22年度は脳溝・脳回の形成と皮質下の構造の発生・発達との関係を検討した。 1. 白質線維束の発達と脳溝形成の関係:拡散テンソル法(DTI)により皮質下白質線維を可視化した。脳梁や前交連などの交連線維、内包などの投射線維に関連する構造は、胎齢70日までに発生していた。連合線維のうち鈎状束は外側溝が発生する胎齢70日に、下縦束は側頭領域では上側頭溝が発生する胎齢80日に、後頭領域では月状溝が発生する胎齢120日に、上縦束は頭頂領域では頭頂後頭溝が発生する胎齢80日に、前頭領域では弓状溝が発生する胎齢90日にそれぞれ形成が認められた。以上の結果から、カニクイザル胎仔において皮質下連合線維の形成は、脳溝の発生と深い関係をもつことが示唆された。 2. 鳥距溝の形成:MRI画像に基づく3D rendering解析およびDTI解析から、鳥距溝の発生に一致して後頭領域内側面への脳梁線維の侵入・発達が認められた。また、胎齢90~100日に鳥距溝が深くなるのに伴って、側脳室後部の脳胞様構造が狭窄・閉鎖し、側脳室が成熟型の形態を呈するようになった。以上の結果から、鳥距溝の形成には脳梁線維が関与し、鳥距溝の形成が側脳室の形態形成と密接な関係にあることが明らかになった。
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