2009 Fiscal Year Annual Research Report
視・聴・嗅覚受容器における脂質の役割を、脂肪酸結合蛋白の機能解析を通して追及する
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20590180
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
齋野 幸子 Tohoku Bunka Gakuen University, 客員教授 (50312559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 尚武 東北文化学園大学, 健康社会システム研究科, 教授 (20004723)
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Keywords | 脂肪酸結合蛋白 / 腸パイエル板 / 樹状細胞 / マクロファージ / M-細胞 / 網膜 / ミクログリア / マウス |
Research Abstract |
脂肪酸結合蛋白(FABP)には脳(B),表皮(E),心臓(H),脂肪(A)型などの分子多様性があり、各種細胞特異的に細胞内脂肪酸機能発現調節の鍵となると考えられる。そこで本年度はマウスの腸パイエル板と網膜に置けるFABPsの発現局在の詳細を免疫組織化学的に解析した。パイエル板では、そこでの殆どの樹状細胞(抗原提示細胞)と胚中心のマクロファージに加えて被覆上皮のM-細胞も各々明確にE-FABPを発現局在していることを見出した。この所見から、M-細胞と樹状細胞/マクロファージとの密接な空間的相互関係が明確となり、加えて、腸上皮の免疫反応にE-FABPおよびそのligandである脂肪酸が重要な役を担うことが強く示唆された。網膜においては、B-FABPが錐体視細胞に、H-FABPが一部の介在ニューロン(アマクリン細胞と水平細胞と双極細胞)に、E-FABPが神経節細胞に、A-FABPが網膜内ミクログリアに局在することを見出し、FABPsが網膜構成細胞の各々に分子多様性も持って機能関与することが判明した。光照射後の経時的な視細胞変性過程では、網膜外から侵入して活発な貪食に関与するマクロファージがE-FABPを発現するので、同刺激下で活性化する内在性ミクログリアと外来性マクロファージの区別がA-FABPとE-FABPを標識として初めて容易に可能なことが判明した。この所見から、従来は内在性ミクログリアと外来性マクロファージの明確な区別が不可能なことから未詳の種々の脳における病的反応の解明にこれら二種のFABP抗体の有用性が強く示唆された。これらの所見を踏まえて、今後は聴覚受容器におけるFABPsの発現局在解析を今後遂行する。
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Research Products
(3 results)