2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体内でのDNA断片化誘発およびDNA修復機構の解析
Project/Area Number |
20590181
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾形 雅君 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50311907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 恒敏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90004746)
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Keywords | DNA修復 / DNA断片化 / iIEL / 小腸 / 抗CD3抗体 / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 / in vivo |
Research Abstract |
マウスに抗CD3抗体を投与して空腸のiIELを活性化させると、30分以内に絨毛上皮細胞全体にDNA断片化が誘発されるが、1時間後にはDNA断片化はほとんど検出されなくなる。そして2時間後、約半数の上皮細胞が剥離するが、絨毛内に残った上皮細胞においてDNAの断片化は全く検出されない。迅速な細胞増殖に伴う絨毛上皮のrenewalの可能性をBrdU標識実験で検討すると、DNA断片化が検出されなくなった1時間後の上皮細胞は、iIEL活性化前から絨毛内に存在していたことを確認した。つまり、一旦DNA断片化が誘発された上皮細胞において、その後、迅速にDNA修復が行われたことを意味する。 酵母やヒトの培養細胞を用いたin vitro実験系では、放射線照射によりDNA二重鎖切断(DSB)を誘導させ、その後の修復機構について調べられているが、放射線等によって誘導されたDSBsは、主にNHEJおよびHRRの二つの修復経路が同じDSB部位において相互作用し傷害が修復されると報告されている。またDSB部位へのDNA修復関連タンパクの共局在についても研究報告されているが、詳細な相互作用や時間的経過については不明な点が多い。そこで、この生体の実験系を用いて、絨毛上皮細胞におけるDNA修復関連分子(γ-H2AX、Nbs1、ATM)の発現動態について免疫組織化学的手法で解析した。 数種のDNA修復関連分子がDNA断片化を生じた上皮細胞の核内で検出され、修復関連分子が断片化を修復するために集積・動員されることを確認した。本実験で用いた修復関連分子の発現動態は、DNA断片化の検出動態と一致しており、DNA修復が確かな現象であることを強く支持する結果も得られた。 細胞にDNA断片化が生じても、それは直接的に細胞の死を意味する訳ではなく、迅速にDNAが修復されることが明らかとなった。
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Research Products
(12 results)