2008 Fiscal Year Annual Research Report
非上皮系細胞におけるprimary ciliaの細胞生物学的意義の解明
Project/Area Number |
20590182
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
萩原 治夫 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80189464)
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Keywords | 一次線毛 / 基底小体 / 中心子 |
Research Abstract |
一次線毛(primary cilia)は、細胞から1本だけ伸び出た線毛で多種類の細胞に、恒常的に出現する。卵管組織、線維芽細胞由来の樹立培養細胞株を材料に用いて、一次線毛の形態と機能的意義について、電子顕微鏡的、免疫組織化学的、細胞生物学的に解析を実施した。KD細胞は、細胞内の小胞にむかって一次線毛を伸張するが、この小胞の性質、小胞の分子解剖、小胞の形成障害と線毛形成についても解析をすすめた。一次線毛は細胞周期性に静止期に出現し、増殖期には消失する。コンフルエントのKD細胞のトリプシン刺激実験により、一次線毛が脱線毛することを見出した。一次線毛の消失過程を追及する上で有用なモデルになることが明らかになり、このモデルを使用して、線毛の消失機構について解析中である。一次線毛は運動線毛より細く、アクソネームを構成する微小管は9+0配列し、ダイニンアームが欠如し、ネキシンリンクも欠損していた。これらの一次線毛に運動能はなく、周辺微小管の位置異常に、ネキシンリンクの欠損が深く関係していることを解明した。ネックの部分では高電子密度物質が蓄積し、この部分が、IFTにおける関門の役割を演じていることがわかった。基底小体には複数個(平均2.65個)の基底小足が付随し、基底小足から核に向かって根小毛が伸長していた。一次線毛は、多方面から力学的な影響を受けていると考えられる。基底小体と基底小体附属構造は、一次線毛を細胞表面の定まった位置に固定するための強固な地盤を構築していることを解明した。
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