2010 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲンの生成と分解過程の液中原子間力顕微鏡による動態解析
Project/Area Number |
20590186
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
星 治 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10303124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛木 辰男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40184999)
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Keywords | コラーゲン線維 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では、コラーゲン線維の成熟過程と分解過程のメカニズムとそれに及ぼす影響因子について、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy ; AFM)の特性を生かした液中形態観察により、解明することを目指す。平成22年度は、以下の内容の研究を実施した。 1)培養細胞のコラーゲン産生に及ぼすアスコルビン酸の影響に関する検討:前年度は、骨肉腫由来の培養細胞(NOS-1)から産生されるコラーゲン細線維の経時的な形態変化を、走査電子顕微鏡と原子間力顕微鏡により解析を行った。同様の手法による観察によって、この細胞のコラーゲン産生能に対するアスコルビン酸の影響について検討した。培地に対し、アスコルビン酸の添加濃度を10μM、50μM、100μMとして、コラーゲン産生量をアスコルビン酸を添加しない対象群と比較したところ、いずれも産生の増加が有意に認められた。コラーゲン細線維の伸長の速度、線維の集束の幅の増加も認められ、NOS-1細胞のコラーゲン産生能に対するアスコルビン酸の効果が確認できた。 2)高速原子間力顕微鏡によるコラーゲン細線維の観察方法の検討:培養開始7日後のNOS-1細胞を1%グルタルアルデヒドで固定し、リン酸緩衝液に置換後、高速原子間力顕微鏡により、細胞周囲に産生されたコラーゲン細線維のイメージングを試みた。測定条件によっては、コラーゲン線維表面の構造を損傷してしまう場合もあるが、測定条件が適切であれば、コラーゲン線維の表面のD周期に対応する凹凸が明瞭に観察された。生きた状態でのNOS-1細胞を高速原子間力顕微鏡で観察するための基礎的な測定条件が得られたが、今後この手法によりリアルタイムでコラーゲン線維の成熟過程や、分解過程をイメージングできる可能性が示唆された。
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