2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゆっくりした細胞形態変化の可視化法の開発とそれを用いた上皮形態形成の研究
Project/Area Number |
20590197
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
門谷 裕一 Kitasato University, 医療衛生学部, 講師 (10185887)
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Keywords | 顎下腺 / 分枝形態形成 / 共焦点顕微鏡 / タイムラプス / 細胞骨格 |
Research Abstract |
顎下腺の分枝形態形成は、上皮細胞集塊の基底部でのクレフト(cleft)形成に始まる。昨年度の研究で、細胞膜非透過性の蛍光色素(sulforhodamine)存在下で器官培養した胎生期マウス顎下腺をタイムラプス共焦点顕微鏡で観察し、クレフト形成時の細胞動態をとらえることに成功している。本年度は、このムービーを多数作製し、クレフト形成時の細胞運動や組織構築の変化を記述することを目的とした。まず、顎下腺原基の細胞を1)間葉細胞、2)基底膜と接する上皮細胞、3)集塊内部の上皮細胞、の3つに区分し、それぞれの移動の様子を追跡した。1)の細胞群では、細胞形態はダイナミックに変化するものの、大きく位置を変えることはなかった。2)と3)の上皮細胞群はともに活発に変形し、同時に移動したが、これらとクレフト形成との直接の関連を認めることはできなかった。次に、クレフトの伸長の様子をムービーにより解析した。クレフトの伸長様式は多様であったが、2μm/時ほどのゆっくりとした伸長期と20μm/時ほどの速い伸長期が存在することがわかった。この伸長に関わる機構を明らかにするためにクレフトの超微形態を精査したところ、クレフトの最奥部に微細線維束を芯とする細胞質突起が高頻度で認められ、クレフト形成は上皮細胞自身の形態変化によるダイナミックな過程であることが判明した。さらに、クレフト形成と細胞運動の関わりを細胞骨格系の調節に関わるミオシンIIやローキナーゼ(RhoKinase)の阻害剤を培養に添加する方法で調査した。これらの阻害剤は、分枝形態形成を含む全ての細胞運動を強力に阻害してしまい、今後、クレフト形成と直接関わるような細胞運動を明らかにするには、これら阻害剤をクレフトの近傍で局所的に作用させるなどの工夫が必要だと考えられた。
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Research Products
(1 results)