2008 Fiscal Year Annual Research Report
VEGF陽性間質細胞群が血管新生に果たす機能的役割の解明
Project/Area Number |
20590199
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
森川 俊一 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (70339000)
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Keywords | 血管新生 / 創傷治癒 / 肉芽組織 / VEGF / 周皮細胞 / 大食細胞 / 基底膜 / MMP |
Research Abstract |
創傷治癒過程の血管新生におけるVEGF陽性間質細胞の機能的役割を解明するため、平成20年度には、微細構造レベルでの検索を行った。多数のVEGF陽性細胞が周皮細胞や大食細胞のマーカーを共発現して肉芽組織の間質に分布し、特に新生血管壁周囲に密着する所見は、これまでの光学顕微鏡レベルの多重染色標本における検索で明らかになっており、VEGF陽性細胞による血管新生の誘導が推測されているが、今回、肉芽組織をエポキシ樹脂に包埋して透過型電子顕微鏡下で観察したところ、有糸分裂像を呈する内皮細胞が既存の血管壁から問質へ突出して形成される内皮発芽構造に、間質細胞が密着する所見が認められた。これらの間質細胞は豊富な粗面小胞体とゴルジ装置で特徴づけられており、これらの細胞が盛んに蛋白合成を行っているものと考えられた。また、周皮細胞マーカーであるdesminに対する免疫染色を施した肉芽組織を樹脂包埋して観察を行ったところ、この間質細胞がdesminを発現していることも明らかとなった。 以上の結果から、VEGF陽性細胞が周皮細胞様に血管壁に密着して血管新生を誘導する機能の一側面が微細構造レベルからもうかがわれた。今後はさらに大食細胞、基底膜、MMPのマーカーに対する免疫染色を肉芽組織に施し、樹脂包埋して電顕用に処理した試料を検索し、VEGF陽性細胞が血管新生時において果たすものと推定されている他の機能、組織修復に伴う遺残物・不要物の除去および基底膜の産生機能についても証明するべく検索を続けていきたいと考えている。
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Research Products
(7 results)