2009 Fiscal Year Annual Research Report
VEGF陽性間質細胞群が血管新生に果たす機能的役割の解明
Project/Area Number |
20590199
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
森川 俊一 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (70339000)
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Keywords | 周皮細胞 / 血管内皮細胞 / 血管新生 / 創傷治癒 / 電子顕微鏡 / 多重免疫染色 / VEGFA / 細胞シート移植 |
Research Abstract |
平成21年度の研究では、新生血管の周囲に分布するVEGF陽性間質細胞群がPlatelet derived growth factorβ(PDGFRβ)を発現することが新たに明らかとなった。さらに、これらのVEGF+/PDGFRβ+細胞群が新生血管内皮に接着して周皮細胞様に位置する場合にはNG2 proteoglycanも併せて発現する。NG2は細胞外マトリックスとの接着やプロテアーゼ活性化の補助を行う分子であり、このことから、新生血管の周囲に分布するPDGFRβ+細胞がVEGFを産生して内皮増殖を促しつつ、内皮に接着してNG2 proteoglycanを発現し新たな血管ネットワーク構築に働くことが推測された。間質から新たにVEGF+/PDGFRβ+細胞群が血管壁内に導入されることは、増殖中の内皮とそれに接触する間質細胞が共に基底膜を欠く所見が透過型電子顕微鏡で得られたことからも示唆された。 上記研究と並行して、最終年度に行う予定の東京女子医大先端生命医科学研究所との共同研究(これまでの研究の再生医学領域への応用を図る)についても予備的実験を開始した。今年度はその第一段階として、血管内皮細胞を含むラット左心室壁由来細胞を材料に培養した細胞シートを3層重ねて積層化し、立体的組織構築を持たせたものを宿主動物に移植して、移植細胞シート内の血管新生機構、および移植細胞シートと宿主動物間の血流開通機構について形態学的解析を試みた。目下のところ、これまでの創傷治癒モデルでの研究結果と同様、細胞シート内に新生される血管内皮先端に周皮細胞が付着すること、またGFP発現宿主動物を使った実験から、移植早期に細胞シートと宿主間に形成される連結血管の周囲に周皮細胞が分布することが明らかとなり、移植組織においても、周皮細胞が血管新生や血管網連結に重要な働きを果たすことが示唆されている。
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Research Products
(10 results)