2010 Fiscal Year Annual Research Report
VEGF陽性間質細胞群が血管新生に果たす機能的役割の解明
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20590199
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
森川 俊一 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70339000)
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Keywords | 血管新生 / 周皮細胞 / VEGF / 基底膜 / 創傷治癒 / 内皮細胞 / 間質細胞 / 心筋シート |
Research Abstract |
平成22年度には、これまでに行ってきた創傷治癒過程に認められるVEGF陽性の間質細胞群による血管新生の制御機構研究における最終段階の検索を行った。その結果として:(1)VEGF陽性間質細胞のうち、新生血管先端部で増殖性の内皮細胞に密着して分布する細胞の大部分は、alpha smooth muscle actin(SMA)、desminおよびplatelet derived growth factor-beta(PDGFR-β)に陽性を示す周皮細胞であること、(2)先端部より後方に分布する周皮細胞が、間接的な血管壁の安定化作用を持つことが示唆されるNG2 proteoglycanに陽性反応を示すこと、(3)周皮細胞のVEGF陽性反応は新生血管先端から後方にかけて徐々に弱まり最終的には消失すること、(4)基底膜マーカーtype IV collagenを用いた実験から、新生血管先端部の周皮細胞は基底膜を欠くが、後方にかけて次第に内皮と共通の基底膜に包まれること、が明らかとなった。これらの結果から、周皮細胞が血管新生制御機構に大きく寄与し、血管新生初期にはVEGF産生により内皮の増殖を促進するが、後期にはVEGF産生停止、NG2発現および基底膜の産生により、逆に新生された血管壁を成熟・安定させるよう、その機能をシフトさせることが強く示唆された。 さらに22年度には、応用的研究として心筋細胞シート移植動物を用いて移植組織内の血管新生についても検索を行った結果、細胞シート内に認められた新生血管にも周皮細胞の付着が密に観察され、周皮細胞による血管新生の制御機構にはモデルの違いを超えた普遍性があるものと考えられた。今後はこの細胞シート移植モデルの血管新生における周皮細胞の機能についてさらなる詳細な検索を行っていきたく、平成23年度からの科学研究費補助金を申請させていただいた。
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Research Products
(9 results)