2010 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計の中枢である視交叉上核における光シグナル伝達経路の形態学的解明
Project/Area Number |
20590202
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
長野 護 近畿大学, 医学部, 講師 (80155960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重吉 康史 近畿大学, 医学部, 教授 (20275192)
藤岡 厚子 近畿大学, 医学部, 准教授 (30077664)
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Keywords | 視交叉上核 / ペプチド受容体 / 腹外側部(VLSCN) / 背内側部(DMSCN) / VIP受容体(VPAC2) / AVP受容体(V1a) / GRP受容体(GRPR) / in situ hybridization |
Research Abstract |
視交叉上核(SCN)における領域間同期機構を検討するために、SCNにおけるペプチド受容体の局在を調べた。SCNは、網膜からの投射がある腹外側部(VLSCN)と投射のない背内側部(DMSCN)に区分され、VLSCNにはVIP、GRP産生細胞が、DMSCNにはAVP産生細胞が局在する。そこで、これらの受容体であるVIP受容体(VPAC2)、AVP受容体(V1a)、GRP受容体(GRPR)の局在をin situ hybridization法を用いてラットSCNにおいて検討した。その結果、V1a mRNA発現細胞は主にDMSCNに強く発現し、明期に高く、暗期に低い顕著な遺伝子発現リズムが認められた。また、VPAC2 mRNA発現細胞はDMSCNおよびVLSCN内の背側領域、GRPR mRNA発現細胞はVLSCNに密に局在した。これらの結果は、VIP産生細胞がVLSCNからDMSCNへの情報伝達に関与していることを示す。さらにAVPとGRP産生細胞はそれぞれDMSCNおよび、VLSCNにおけるautocrineまたはparacrine機構による細胞間情報伝達に関与していることが示唆された。 次に、スライス培養系を用いてさらなる解析を行った。まず、SCN全体のスライス培養とDMSCNとVLSCNに分離したスライス培養に、VPAC2作用薬であるVIPを作動させるとSCN全体および分離したVLSCNに比べて分離したDMSCNの位相に大きなシフトが認められた。これは、上記のVIP産生細胞がVLSCNからDMSCNへの情報伝達の関与を支持する結果である。
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