2008 Fiscal Year Annual Research Report
不全心筋におけるトロポニンIの脱リン酸化が不整脈の発生に果たす役割の検証
Project/Area Number |
20590205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 昌人 Tohoku University, 大学院・医学糸研究科, 准教授 (30302110)
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Keywords | 心不全 / カルシウム / トロポニンC |
Research Abstract |
ラットにモノクロタリンを皮下注すると、4週後には約25%が心不全のため死亡し、生き残ったラットは右室の肥大と右心不全を呈した。この生存ラット右室より摘出した心室筋が、不全心筋としての特性を全て備えていることを、我々は既に報告している。この不全ラットと対照ラットの右室から多細胞心室筋(トラベクラ)を摘出し、両トラベクラにおけるトロポニンCからの解離カルシウム量の違いとその機序を検討した。更に、トラベクラを1%Triton X-100で30分間潅流することにより除膜した。 (1) トロポニンIのリン酸化の検定、カルシウム-張力関係の解明 対照ラット右室から摘出したトラベクラを除膜し、サルコメア長2.0と2.2μmにおけるカルシウム張力関係を記録した。EC_60は、サルコメア長2.2μmにおいて減少しており、トロポニンCのカルシウムに対する親和性の増大が示唆された。0.1μMイソプロテレノールの投与により、EC_50は有意に増大し、トロポニンIのリン酸化によってトロポニンCのカルシウムに対する親和性の減少が示唆された。 (2) トロポニンCからの解離カルシウムの解明 不全ラット右室から摘出したトラベクラにおいては、対照ラットに比べ、伝播するカルシウム波が有意に速く、トロポニンCからの解離カルシウムの増加が示唆された。不全心筋ではトロポニンIのリン酸化によって、トロポニンCのカルシウムに対する親和性が減少すると考えられるため、今後はその機序に関して検討していく必要がある。
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[Journal Article] Sarcomere mechanics in uniform and non-uniform cardiac muscle : A link between pump function and arrhythmias2008
Author(s)
Ter Keurs HE, Shinozaki T, Zhang YM, Zhang ML, Wakayama Y, Sugai Y, Kagaya Y, Miura M, Boyden PA, Stuyvers BD, Landesberg A
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Journal Title
Progress in Biophysics & Molecular Biology 97
Pages: 312-331
Peer Reviewed
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