2009 Fiscal Year Annual Research Report
不全心筋におけるトロポニンIの脱リン酸化が不整脈の発生に果たす役割の検証
Project/Area Number |
20590205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 昌人 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30302110)
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Keywords | 心不全 / カルシウム / トロポニンC |
Research Abstract |
モノクロタリンの皮下注によって、4週後には約25%のラットが心不全のために死亡し、生き残ったラットは右室の肥大と右心不全を呈した。この生存ラット右室より摘出した心室筋が、不全心筋としての特性を全て備えていることを、我々は既に報告している。この不全ラットと対照ラットの右室から多細胞心室筋(トラベクラ)を摘出し、以下の検討を行った。 (1)解離カルシウムによる筋小胞体からのカルシウム放出の解明 トラベクラを0.01%saponinで60分潅流し、筋小胞体の働きを残した除膜を行った。カルシウム変化を記録するために、フルオ-4を加えた。BDMの局所潅流による不均一収縮モデルを作製した後に、伸展パルスを加えた。ミオシンATPase活性の阻害薬であるBDMの潅流領域は発生張力が低下するため、潅流領域では伸展パルスによってより強い伸展が起こり、パルス終了時の短縮によってトロポニンCからカルシウム解離が生じ、カルシウム波が発生した。カルシウム波は、カルシウムによる筋小胞体からのカルシウム放出によって伝播すると考えられていることから、トロポニンCからの解離カルシウムが筋小胞体からのカルシウム放出を引き起こしたと考えた。 (2)解離カルシウムによる催不整脈性の解明 正常ラットとモノクロタリン投与ラットのトラベクラに微小電極を用いてフラ-2を負荷した。BDMの局所潅流による不均一収縮モデルを作製し、境界領域から発生するカルシウム波と膜電位との関係の変化を比較したところ、両者には正の相関が見られた。
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