2009 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞における陰イオンチャネルの機能と分化に果たす役割の解明
Project/Area Number |
20590206
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
川野 誠子 Komazawa Women's University, 人間健康学部・健康栄養学科, 教授 (00177718)
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Keywords | クロライドチャネル / 間葉系幹細胞 / Ca / ClC family / ES細胞 |
Research Abstract |
「研究の目的」幹細胞の生理機能や特定の細胞へ分化するメカニズムおよび調節機構は未だ充分に解明されておらず、特にイオンチャネルやトランスポーターの発現や増殖機構及び分化における役割に関しての詳細は不明である。本研究では、陰イオンチャネルに注目し、幹細胞での機能を明らかにし、特定の細胞へ分化する過程での役割解明を目的とした。 「研究実施計画」昨年度及び本年度はヒト間葉系幹細胞(hMSC)及びマウス胚性幹細胞(mESC)におけるクロライドチャネルの分子・生理機能発現状況の基礎的な解析を展開した。 「結果」mESCから心筋細胞へ分化誘導を行い、誘導心筋細胞に発現している諸種クロライドチャネルの遺伝子をRT-PCRにて検討した。成熟心筋細胞に認められる(1)CFTRクロライドチャネル、(2)ClCファミリー電位依存性クロライドチャネルのうち、(ClC-3、ClC-4)、(4)ClCACa^<2+>活性化クロライドチャネルの候補とされている、Bestrophin(ベスト病原因遺伝子)の発現が認められた。 一方、未分化mESCではRT-PCRではClC-3,Bestrophinの発現は認められたが、CFTR、ClC4の発現は検出できなかった。これらの結果より、CFTRは心筋への分化過程で出現すると考えられた。発現遺伝子による蛋白質の機能を検討するために、パッチクランプ法を用いて電気生理学的検討を行った。mESCの単一細胞を用いた全細胞膜電流記録では外向きK電流の記録は可能であったが、容量依存性Cl電流の解析は困難であり、現時点ではmESCでのクロライドチャネルの生理機能解析を進行中であり、来年度も検討を続ける予定である。
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