2010 Fiscal Year Annual Research Report
KOマウスを用いたクラスII型PI3キナーゼC2αの血管形成における役割の解明
Project/Area Number |
20590207
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉岡 和晃 金沢大学, 医学系, 助教 (80333368)
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Keywords | PI3キナーゼ / 血管新生 / 血管障害 / 血管内皮細胞 / 血管透過性 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本研究では、"クラスII型PI3キナーゼC2α"の機能、特に血管恒常性における役割を明らかにするために、当研究グループが作製したC2α遺伝子KOマウスを用いてC2αの生理機能と血管障害における役割を細胞・分子レベルで解析することを目的として実施した。平成22年度に行ったC2αKOマウスの表現型解析から明らかになったことは、1)血管障害ホルモン・アンジオテンシンII慢性投与により高頻度に解離性大動脈瘤を発症し、多くは患部破裂により死亡した。2)大動脈内腔側の内皮接着構造を抗VEカドヘリン抗体による免疫染色により観察した結果、KOマウスにおいて、内皮間接着構造が野生型と比べて著しく異常を呈していた。3)上記内皮構造の異常を反映するように、マイルズ法による血管透過性評価の結果、AngII投与によりKOマウスの大動脈は野生型と比べて"血管透過性が約2倍亢進していた。4)抗Mac3抗体(マクロファージ・マーカー)を用いた大動脈標本の免疫染色の結果、KOマウス大動脈壁では、野生型と比べてMac3陽性マクロファージが有意に浸潤してした。5)炎症性マクロファージは血管炎部位でコラーゲン分解酵素MMPを産生することが知られている。実際にKOマウス大動脈壁では、MMP-2及び-9の酵素活性が顕著に亢進し、それに伴う動脈壁構造の破壊(弾性繊維の断裂等)が観察された。以上の結果から、C2αヘテロKOマウスで発症する解離性大動脈瘤形成は、血管内皮細胞の障壁機能異常を起因とする血管炎を呈している点で、非常にヒト疾患と類似している。C2αはこれまで全く生理機能が知られてなく、クラスI型酵素とは異なる基質特異性、細胞内分布を示すことから、血管恒常性維持に必須の新たな機能的役割を持つ分子であり、多くの血管病(動脈硬化、血管閉塞、動脈瘤等)共通の鍵となる分子である可能性が大きい。C2αの発現、活性を特異的に調節できる薬剤・手法の開発はこれら血管病の有益な治療法となりうることを示唆している。
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[Journal Article] S1P3-mediated cardiac fibrosis in sphingosine kinase 1 transgenic mice involves reactive oxygen species2010
Author(s)
Takuwa N, Ohkura S, TakashimaS, Ohtani K, Okamoto Y, Tanaka T, Hirano K, Usui S, Wang F, Du W, Yoshioka K, et al
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Journal Title
Cardiovasc.Res
Volume: 85
Pages: 484-493
Peer Reviewed
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[Book] Role of sphingosine-1-phosphate signaling in atherosclerosis, Lysophospholipid Receptors : Signaling and Biochemistry (Edited by Chun J, HIa T, Spiegel S, Moolenaar W)2011
Author(s)
Takuwa Y, Wang F, Okamoto Y, Yoshioka K, Takuwa N
Publisher
John Wiley & Sons, Hoboken, New Jersey, U.S.A(In press)
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