2009 Fiscal Year Annual Research Report
シナプトタグミン1のSNAP-25への結合の神経伝達物質放出における生理的意義
Project/Area Number |
20590209
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西木 禎一 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70423340)
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Keywords | 神経科学 / シナプス伝達 / シナプス小胞 / カルシウムイオン / 開口放出 |
Research Abstract |
神経伝達物質放出の分子機構を解明するために、Ca^<2+>センサーシナプトタグミン1と膜融合装置SNARE複合体(SNAP-25/シンタキシン/シナプトブレビン)の結合を解析しその役割を明らかにすることが本研究の目的である。 生理的条件下におけるシナプトタグミンとSNARE複合体との結合 前年度、シナプトタグミンとSNARE複合体の構成成分であるSNAP-25結合タンパク質シンタキシンを共発現させたヒト胎児腎臓由来HEK293細胞を可溶化し生理的イオン強度下において免疫沈降すると、Ca^<2+>非存在下でも共沈することを示した。これに対し、HEK293細胞に別々に発現させた組換えタンパク質を4℃で反応させた場合、結合は観察されなかった。しかし、温度を上げるに従い両者の結合は増加し37℃では30分で飽和に達し、両タンパク質の結合が温度依存性であることが分かった。これまでの報告では両者は生理的イオン強度下においてCa^<2+>非存在下では結合しないと信じられているが、ほとんどの結合実験が4℃で行われており、それがCa^<2+>非依存性結合を検出できなかった原因であると考えられる。また、脳の可溶化液中に存在するシナプトタグミンとSNAREの複合体は可溶化後に形成されたものでなくすでに神経終末に存在していたものであることが示唆された。 点突然変異タンパク質を用いたSNARE分子上のシナプミン結合部位の同定 前年度の結果をふまえて、SNAREモチーフのアミノ末端側に存在する6個のグルタミン酸を種々の組み合わせでグルタミンに置換した変異シンタキシンを作製した。これらの変異のシナプトタグミンへの結合に及ぼす影響を調べたところ、1番目から5番目までのグルタミン酸をすべて置換した五重変異シンタキシンで最も結合が減少し、これらのグルタミン酸のもつ負電荷がシナプトタグミンとの結合に重要であることが明らかとなった。
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