2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム・マグネシウム交換系のアデノシン三燐酸依存性の解析
Project/Area Number |
20590219
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
横山 倫子 Tokyo Medical University, 医学部, 兼任講師 (20398762)
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Keywords | ナトリウム・マグネシウム交換系 / アデノシン三燐酸 / 生体膜 |
Research Abstract |
細胞機能を維持するためにマグネシウムイオン(Mg^<2+>)はとても重要であるにも拘らず、細胞内遊離Mg^<2+>濃度([Mg^<2+>]_i)の調節機構については、まだ明らかにされていない。我々は蛍光Mg指示薬(mag-fura2)を使って[Mg^<2+>]_iの経時的変化を測定し、細胞外ナトリウム(Na^<+>)に依存した細胞内Mg^<2+>汲み出し機構、すなわちNa^<+>/Mg^<2+>交換系の性質について検討してきた。 本研究はこの交換系がエネルギー依存性があるか検討することを目的としている。ラット心室筋単離細胞を代謝阻害剤で処理し、細胞内アデノシン三燐酸(ATP)を枯渇させると、MgATPからMg^<2+>が遊離するためと考えられる[Mg^<2+>]_iの上昇(約0.9mMの定常値から2.5mM程度)を認め、細胞が硬直状態となり約50%に収縮した。この状態では、Na^+に依存した細胞内Mg^<2+>の汲み出しが約90%抑制された。そこで、ATPの減少による細胞内二次的変化による影響について検証した。まず、細胞内Na^+膿度を蛍光Na指示薬(SBFI)を用いて測定し、細胞内Na^+の上昇(5.0-10.5mM)が、Na^+/Mg^<2+>交換活性を50%抑制する濃度(40mM)にも達していないことを示した。次に、細胞内酸性化を防ぐために一価イオンの膜透過性を上げるnigericinで処理をしたが、Mg^<2+>汲み出しは抑制されたままだった。以上の結果より、代謝阻害時に見られたMg^<2+>汲み出し抑制は細胞内のNa^+上昇や酸性化だけによるものではないと考察した。細胞が硬直状態にあるときの細胞内ATP濃度は文献を基に計算すると0.4mM程度に低下していることから、Na^+/Mg^<2+>交換活性にはATPが必要であることが示唆された。この結果を受けて、直接的にNa^+/Mg^<2+>交換系のATP依存性を調べるために、赤血球ゴースト膜を使った実験を試みている。
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Research Products
(2 results)