2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム・マグネシウム交換系のアデノシン三燐酸依存性の解析
Project/Area Number |
20590219
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
横山 倫子 Tokyo Medical University, 医学部, 兼任講師 (20398762)
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Keywords | ナトリウム・マグネシウム交換系 / アデノシン三燐酸 / 生体膜 / マグネシウムイオン |
Research Abstract |
マグネシウムイオン(Mg^<2+>)は蛋白質の合成やエネルギー代謝、酵素反応に必須であるなど生体機能を維持する上で重要なイオンである。しかしながら、これまで細胞内遊離Mg^<2+>濃度([Mg^<2+>]_i)の調節機構については、まだ明らかにされていない。近年、Mg^<2+>の細胞内流入に関してはTRPチャンネル(transient receptor potential channel)の関与が示唆され着目されている。一方、Mg^<2+>の細胞外への汲みだし機構については分子レベルでの報告はなく、我々は細胞外ナトリウム(Na^+)に依存した細胞内Mg^<2+>汲み出し機構、すなわちナトリウム・マグネシウム(Na^+/Mg^<2+>)交換系の制御機構について研究を重ねている。 本研究はその一環として、Na^+/Mg^<2+>交換系がエネルギーであるアデノシン三燐酸(ATP)を必要としているのか、さらにはATPによって制御されているのかを検討することを目的としている。昨年度の研究により、ラットの心室筋単離細胞において、代謝阻害時にNa^+に依存した細胞内Mg^<2+>の汲み出しが約90%抑制されたことを報告し、Na^+/Mg^<2+>交換活性にはATPが必要であることを示唆した。今年度はNa^+細g^<2+>交換活性の抑制とATPの関与を調べるため、赤血球ゴーストを使って、ATP濃度を調整した標本の作製に取り組んでいる。平行して、Na^+/Mg^<2+>交換活性の抑制について研究を進めたところ、Na+/Ca^<2+>交換系の阻害剤であるKB-R7943に抑制効果があるという結果を得た。ラットの心室筋単離細胞において、KB-R7943のNa^+/Mg^<2+>交換活性に対する50%阻害濃度(IC_<50>)は25℃で21μM、35℃で16μMとなり、これまで広く阻害剤として利用されてきたイミプラミンのIC_<50>より1/3から1/4も低濃度であった。今後、細胞内Mg^<2+>の恒常性の研究において、KB-R7943はNa^+/Mg^<2+>交換活性の阻害剤として有用と示唆される。
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Research Products
(1 results)