2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム・マグネシウム交換系のアデノシン三燐酸依存性の解析
Project/Area Number |
20590219
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
横山 倫子 東京医科大学, 医学部, 講師 (20398762)
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Keywords | ナトリウム・マグネシウム交換系 / アデノシン三燐酸 / ナトリウム・マグネシウム交換輸送阻害剤 / ナトリウム・カルシウム交換輸送阻害剤 |
Research Abstract |
我々は細胞内遊離Mg^<2+>濃度([Mg^<2+>]_i)の調節機構について、蛍光Mg指示薬(mag-fura2)を使って[Mg^<2+>]_iの経時的変化を測定し、細胞外ナトリウム(Na^+)に依存した細胞内Mg^<2+>汲み出し機構、すなわちNa^+/Mg^<2+>交換系の性質について研究している。本研究はこの一連の研究のうち、エネルギー依存性について検討している。昨年度までに、代謝阻害時にはMg^<2+>の汲み出しが抑制されることから、Na^+/Mg^<2+>交換系が働くためにアデノシン三燐酸(ATP)が必要であることが分かった。本年度は、Na^+/Mg^<2+>交換輸送活性の阻害因子について検討した。Na^+/Mg^<2+>交換輸送の阻害剤としては、三環形抗鬱薬のイミプラミンがよく知られている。イミプラミンの阻害効果について濃度依存性を調べると、50%阻害濃度(IC_<50>)は25℃で59μM、35℃で67μMとなった。他のチャネルや輸送体で用いられる阻害剤も試して比較検討したところ、Na^+/Ca^<2+>交換系阻害剤のKB-R7943が最も強い阻害効果を認め、濃度依存性を示した。KB-R7943のNa^+/Mg^<2+>交換系に対するIC_<50>は25℃で21μM、35℃で16μMとなり、イミプラミンよりも阻害効果が3から4倍強いことが分かった。KB-R7943がNa^+/Mg^<2+>交換系の機能を調べる際に使用できる可能性を示唆した。次に、Mg^<2+>欠乏時のMg^<2+>の汲み出し機構の制御について検討した。ラットをMg^<2+>欠乏食で2から6週間飼育すると、コントロール群と比べて血清Mg^<2+>濃度は3分の1程度に減少したが、[Mg^<2+>]_iは近い値に維持され、Na^+/Mg^<2+>交換輸送活性も抑制されなかった。
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