2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウスES細胞由来心筋細胞の分化成熟過程における分岐構造の非線形力学的解析
Project/Area Number |
20590220
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
倉田 康孝 Kanazawa Medical University, 医学部, 准教授 (00267725)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝本 利重 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90178921)
|
Keywords | 非線形力学 / 生物・生体工学 / 生物物理 / 生理学 / 再生医学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マウス胚性幹(ES)細胞由来心筋細胞の分化成熟過程における分岐構造の解析により、発生過程での心筋自動能発現制御機構を解明することである。平成21年度の目標は、前年度に作成したマウスES細胞由来心筋ペースメーカー(洞結節型)細胞モデルを用いて自動能発生機序を究明すると共に、心房筋型・心室筋型細胞モデルを構築し、これらモデル細胞のパラメータに依存した分岐構造(自動能発現・停止過程における安定性とダイナミクス)を解析するためのシステム(プログラム群)を構築することであった。 ペースメーカー細胞での自動能発現における過分極活性化陽イオンチャネル電流(If)及び細胞内Ca^<2+>動態の役割を解析した結果、1)If電流依存性の自動能が発現し得ること、2)If電流が過分極負荷に対する自動能のロバスト性を強化していること、3)筋小胞体Ca^<2+>ポンプによる細胞内Ca^<2+>動態の不安定化が分化初期での自動能発現に寄与している可能性があること、を明らかにした。また、洞結節型(及びマウス心室筋)細胞モデルにおけるイオンチャネル電流の動態と、ES細胞由来心房筋型・心室筋型細胞から得られたイオンチャネル電流の動態を比較解析することにより、心房筋型・心室筋型細胞モデル(非線形力学系モデル)を作成することができた。科学技術計算ソフトウェア(MATLAB)を用いて活動電位波形におけるパラメータ依存性変化の解析プログラムを作成し、これらのモデル細胞が実験データ(活動電位波形とその各イオンチャネル電流抑制時における変化)を十分に再現できることをコンピュータ・シミュレーションにより確認した。さらに、洞結節型モデルと同様に、新たに作成したモデル細胞のパラメータ依存性分岐構造(システムの平衡点とその安定性、活動電位のパラメータ依存性変化)を解析するためのシステム(MATLABプログラム群)を完成させることができた。
|