2010 Fiscal Year Annual Research Report
みどりの香りがストレスに対するヒトの生理機能応答に及ぼす影響-医療施設への応用
Project/Area Number |
20590231
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
紫藤 治 島根大学, 医学部, 教授 (40175386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 健太郎 島根大学, 医学部, 助教 (90457185)
片倉 賢紀 島根大学, 医学部, 助教 (40383179)
橋本 道男 島根大学, 医学部, 准教授 (70112133)
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Keywords | みどりの香り / (Z)-3-hexenol / (E)-2-hexenal / 体温調節 / 隔離ストレス / 精神ストレス / 医療現場 |
Research Abstract |
医療活動は効率性と管理のしやすさから、無機質系の内装が施された住空間で行われている場合が多く、患者さん等の居住性が犠牲になる場合が多い。我々はこれまで病室の内装に木材などの自然素材を用いて、患者さんの肉体的・精神的ストレスを和らげる方策を検討してきた。本年度は隔離病室の居住性の改善を目指し、みどりの香りが病室に隔離されるヒトの生理的応答に及ぼす効果を検討した。健康な成人男性9名を被験者とした。被験者は実験1週間以上前から、就寝・起床などの生活リズムを一定とし、この間は薬物の摂取、強度の運動を行わなかった。また、実験前日からカフェインなどの摂取や、香料の使用を禁じた。実験当日、被験者はTシャツ、ショーツを着用し、0900時に隔離病室に入室し、以後25時間滞在した。この間、被験者は自由に生活したが、起床・就寝時間および規定食の摂取時間帯は実験前と同一とした。隔離室においてみどりの香り(青葉アルコール0.03%w/wと青葉アルデヒド0.03%w/wの混合液)を2.67ml/minで1分間30分間毎に起床時に限り噴霧した。病室滞在中、4時間毎に動脈血圧、皮膚表面蒸散量(7点)を測定し、全身の温度感覚、湿度感覚、温熱性快適感、におい強度、におい快適感を申告した。また、一分毎に結腸温、皮膚温、心舶数を測定した。病室退出直前には肘部の静脈より採血し各種分析を行った。2週間以上の間隔を空け、みどりの香りの溶剤を噴霧して同様の実験を行った。 病室滞在中、結腸温は0600~0800時にかけてみどりの香りの噴霧により低下した。他の測定項目に有意な差は無かった。前年度の研究ではみどりの香りは有意に精神的ストレスに対する応答を緩和したが、今回の噴霧方法では病室への隔離ストレスに対するみどりの香りの効果は明確ではなかった。しかし、睡眠の質を向上する可能性もあり、さらなる検討が望まれる。
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