2008 Fiscal Year Annual Research Report
海馬学習依存的なAMPA受容体シナプス移行におけるアセチルコリンの役割
Project/Area Number |
20590232
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
美津島 大 Yokohama City University, 医学研究科, 准教授 (70264603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舩橋 利也 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (70229102)
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Keywords | 海馬 / AMPA受容体 / アセチルコリン / 学習・記憶 / シナプス移行 / GluR1 subunit / ムスカリン受容体 / NMDA受容体 |
Research Abstract |
海馬はエピソード記憶の固定化に必要不可欠な脳領域である。本研究では海馬学習のメカニズムを探るため、4〜5週齢のWistar系雄性ラットを実験に用い、IA taskによる学習課題を負荷した。海馬急性スライスを作成しCA1錐体細胞のパッチクランプ解析を行い、Schaffer線維を電気刺激した際のevoked EPSCを記録し、AMPA/NMDA比を求めた。IA学習が成立したラットと、taskは行わずcontextの提示なしにshockのみを加えたラット、IA taskを行わないコントロールラットで比較し、海馬学習が内在性AMPA受容体のシナプス移行をもたらし、AMPA/NMDA比を上昇させることを確認した。 この作用はIA taskの20分前にムスカリン受容体アンタゴニスト(Scopolamine)を投与しておくと、学習が阻害され、AMPA/NMDA比の上昇が見られなかった。従って、AChはムスカリン受容体を介して内在性AMPA受容体をシナプス移行させることが示唆された。さらに、IA taskを行わないラットの海馬急性スライスに、AChアゴニストであるCarbacho1をin vitroで投与してもAMPA/NMDA比の上昇が認められ、Scopolamineの同時投与で阻止された。以上より、AChの作用は海馬特異的であることを確認した。 Recombinant virus(Herpes GluR1-GFP)をラット海馬に注入し、感染細胞と非感染細胞の電気生理学特性の違いから海馬CA1錐体細胞でGluR1サブユニットを含むAMPA受容体がシナプス移行を確認した。IA学習が成立したラットではGluR1サブユニットを含むAMPA受容体のシナプス移行が見られる一方、学習課題を行っていないコントロールや、contextの提示なしに電気ショックのみを負荷したコントロールではAMPA受容体のシナプス移行が見られないことから、GluR1のシナプス移行は学習依存的であることが確認された。この実験でもScopolamineを投与によりGluR1サブユニットのシナプス移行が阻害されたことから、ムスカリン受容体を介し、AChがGluR1サブユニットをシナプス移行させることが示された。さらに、IA taskを行っていないラットの海馬急性スライスに、AChアゴニストであるCarcacholのin vitroで投与もGluR1サブユニットをシナプスに移行させたが、Scopolamineの同時投与で阻止された。
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