2010 Fiscal Year Annual Research Report
海馬学習依存的なAMPA受容体シナプス移行におけるアセチルコリンの役割
Project/Area Number |
20590232
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
美津島 大 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (70264603)
|
Keywords | 海馬 / AMPA受容体 / アセチルコリン / 学習・記憶 / シナプス移行 / GluR1 subunit / ムスカリン受容体 / NMDA受容体 |
Research Abstract |
海馬は時間や場所の情報を統合し、文脈記憶の形成に中心的な役割を持つが、シナプス、分子のメカニズムは明らかでない。本研究では4~5週齢のラットを実験に用い、inhibitory avoidance (IA) taskによる学習課題を負荷した。学習成立後、海馬急性スライスを作成しCA1錐体細胞のパッチクランプ解析を行い、CA3-CA1線維を電気刺激した際のevoked EPSCを記録した。昨年までの研究で、学習依存的なGluR1のシナプス移行を阻止するフラグメントである(GluR1-c-tailまたはMPR-DD)を広範に両側の海馬CA1に強制発現させると、IA学習成績を強く低下させることが判明した。以上より、GluR1 subunitを含むAMPA受容体のシナプス移行が学習の成立に必要であることが示された。今回、muscarinic acetylcholine receptorの阻害薬であるscopolamineを学習の20分前に投与しておくと、IA学習が阻止され、GluR1-c-tailやMPR-DDの発現細胞で観察された、GluR1のシナプス移行阻止作用が認められなかった。以上の結果より、学習依存的な内在性AMPA受容体のシナプス移行には、ムスカリン受容体を介したcholinergic activationが必要であることが判明した。一方、コントロールとして用いたMPR-AAの発現では、非学習群、IA学習群、scopolamine投与群いずれもAMPA受容体のシナプス移行に影響しなかった。さらにcurrent clamp法により、GluR1-c-tail、MPR-DD、MPR-AA発現がCA1ニューロンに及ぼす影響を検討したが、これらのフラグメント発現は静止膜電位、定量的なcurrent injectionにより誘発される活動電位発生数などに悪影響を示さなかった。
|
Research Products
(5 results)