2010 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計中枢の細胞間同期機構-視交叉上核の細胞多様性をふまえて-
Project/Area Number |
20590240
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
重吉 康史 近畿大学, 教授 (20275192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 厚子 近畿大学, 医学部, 准教授 (30077664)
長野 護 近畿大学, 医学部, 講師 (80155960)
鯉沼 聡 近畿大学, 医学部, 助教 (10340770)
筋野 貢 近畿大学, 医学部, 助教 (30460843)
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Keywords | 視交叉上核 / サーカディアンリズム / 体内時計 / 概日リズム / 同期 / VIP Forskolin |
Research Abstract |
体内時計中枢において細胞間、領域間の同期を達成しているメカニズムについて本年も継続して検討をおこなった。すでにVIP(血管作動性腸管ペプチド)が腹外側部に強く発現すること、その受容体が背内側部に豊富に発現することをin situ hybridizationの手法を用いて明らかにしている。今年度は、細胞間の同期をなすと考えられるVIPについての視交叉上核における領域ごとの効果についてPer2 :: dlucラットの視交叉上核スライス培養を用いてさらに検討を行った。VIPを背内側部のみの切片では10時間以上の位相変位を生じる。一方、背側部と腹外側部を切り離さずにVIPを作用させると、位相変位は最高でも数時間に留まった。また、腹外側部を単独で切離し、VIPを作用させると、位相変位はほとんど生じなかった。よって、VIPは背内側部に限局した作用を示す。この結果はin situ hybridizationでVpac2受容体が背側部に限局して発現するとの所見を支持する。また、背内側部の位相変位の幅が腹外側部からの入力によって影響を受けていることを示唆する。これらの検討をまとめるとVIPが、腹外側部から背内側部に作用することによって、視交叉上核内の腹外側部と背内側部の同期が達成されていると考えられた。さらに、視交叉上核内の細胞間、領域間同期の機構をPer2 :: dlucラットの視交叉上核スライス培養を用いて検討した。細胞内のcAMPを高濃度に維持し、視交叉上核の細胞間同期を破壊する目的でForskolinの継続投与を行った。視交叉上核の画像を解析する際、小さなグリッド領域の周期、位相を個別に検討した。その結果24h未満の周期をもつ背側部の内側の小領域と、それ以外のすべての領域を占める24時間より長い周期を示す領域に分割できることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)