2008 Fiscal Year Annual Research Report
心・肺機能の神経性調節:低酸素下で生き延びる機構を探る
Project/Area Number |
20590242
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
白井 幹康 Hiroshima International University, 保健医療学部, 教授 (70162758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 正光 広島国際大学, 保健医療学部, 教授 (20198097)
清水 希功 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (40309662)
稲盛 修二 広島国際大学, 保健医療学部, 講師 (60412334)
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Keywords | 肺交感神経 / 心臓交感神経 / 低酸素性肺血管収縮 / β-アドレナリン受容体 / 副腎 |
Research Abstract |
心肺機能の神経性調節を研究するためには、心臓及び肺を特異的に支配する交感神経活動を直接記録することが重要である。麻酔下ラットを開胸して星状神経節を露出後、そこから心肺方向に分岐する主な3つの神経束を電気刺激した結果、心拍を特異的に変化させる1本の神経束と心拍の応答はなく肺動脈圧を上昇させる1本の神経束が存在することを確認した。さらに、それぞれの神経束から銀電極を用い、異なる放電パターンを持つ神経活動の記録に成功した。 放射光高速微小血管造影法を麻酔下ラットに応用して、急性低酸素負荷時の肺小動脈応答を対照、両側星状神経節切除及び両側副腎摘出ラットで調べた。対照では、低酸素に対して弱い収縮応答が生じた。この弱い応答は、星状神経節切除、副腎摘出のいずれの処置に対しても強い収縮応答に転じた。また、これらの処置を同時に行うと、さらに強い収縮応答が生じた。以上の結果より、低酸素時、肺交感神経、副腎のいずれも低酸素性肺血管収縮応答を減弱させるように働くことが分かった。β-アドレナリン受容体の遮断剤であるプロプラノロールを投与によっても低酸素時の弱い収縮応答は強い応答に転じた。他方、α-アドレナリン受容体遮断は低酸素性収縮応答にほとんど影響を及ぼさなかった。これらから、急性低酸素時、副腎を含めた交感神経系は、主にβ-受容体性肺血管拡張機構を賦活することで、肺の局所性機構で起こる低酸素性肺血管収縮応答を減弱することが分かった。このβ性拡張機構は、急性低酸素時の肺高血圧進展を抑制する全身循環維持機構と考えられた。
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Research Products
(4 results)