2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590244
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
結城 幸一 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80302420)
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Keywords | プロスタノイド / 受容体欠損マウス / 虚血-再灌流障害 / 心筋梗塞 / プレコンディショニング |
Research Abstract |
プロスタノイドは、プロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)よりなる生理活性脂質であり、多種類のその受容体が心臓に発現している。しかし、心疾患の病態形成におけるプロスタノイドの役割には不明な点が多い。本研究の目的は、プロスタノイドの虚血心臓保護作用の作用機序を解明することにある。長時間の冠動脈閉塞前に、短時間の虚血と再灌流を繰り返す(プレコンディショニング処理)と心臓の梗塞サイズが減少する。前年度までに、PGE_2受容体EP_4を欠損させたマウスの場合、プレコンディショニング処理による心臓の梗塞サイズの軽減が有意に減少することを明らかにした。つまりプレコンディショニングにより産生増加したPGE_2がEP_4を介して長時間の虚血前に何らかの心保護機構を刺激している可能性が示唆された。今年度は、PI3K/Akt系の活性化におけるPGE_2-EP_4系の役割について解析を行った。PI3K/Akt系の活性化は、GSK-3の活性化などを介して抗アポトーシス効果をもたらすことから、虚血プレコンディショニング発現において重要な役割を果たすシグナル系として知られている。野生型マウスの心臓において、虚血-再灌流にともなうAkt活性化は、選択EP_4アゴニスト投与群において有意に増強した。なお、虚血-再灌流処置をしない野生型マウスの心臓では、選択EP_4アゴニストのAkt活性化作用は認めなかった。一方、EP_4欠損マウスの心臓では、選択EP_4アゴニストのAkt活性化増強作用は認めなかった。これらの結果、虚血プレコンディショニングにおけるPGE_2-EP_4系の作用発現のメカニズムの一つとしてAktの活性化亢進への関与が明らかとなった。
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