2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームの成因におけるL-PGDSの役割の検討
Project/Area Number |
20590254
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三輪 宜一 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 助教 (60346773)
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Keywords | L-PGDS / 動脈硬化 / メタボリックシンドローム / PPAR-γ / 脂肪細胞分化 / 15d-PGJ2 |
Research Abstract |
当該年度はL-PGDS遺伝子欠損(LKO)マウスに高脂肪食を負荷し、肥満およびインスリン抵抗性、動脈硬化を含めたその他の表現型についての検討を行った。野生型8週齢の雄C57BL/6野生型(wild-type; WT)マウス、LKOマウスに対して高脂肪食負荷を行い、20週齢で体重測定および腹部MR検査を施行し、28週齢で動脈硬化病変の評価を行った。高脂肪食負荷後のLKOマウスはWTマウスより有意に体重が増加していた。腹部MRI検査では、LKOマウスはWTマウスより皮下脂肪組織、内臓脂肪組織ともに有意に増加しており、組織切片においても脂肪細胞の肥大を認めた。血圧・血清脂質にっいては群間で有意な差を認めなかった。インスリン抵抗性についてもインスリン負荷テスト・糖負荷テストで検討したが有意差は認められなかった。大動脈脂肪染色ではLKOマウスでWTマウスより脂肪沈着増加を認めた。同様に、大動脈起始部の動脈硬化巣はLKOマウスで有意に増大しており、マクロファージ浸潤の増加を伴っていた。また、炎症性サイトカインであるmonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)およびinterleukin-1β(IL-1β)の発現もLKOマウスで有意に増加していた。以上よりL-PGDS遺伝子の欠損は生体内において炎症反応の調節を介して動脈硬化病変形成を健進し、肥満の発症にも関与している可能性が示唆された。またインスリン抵抗性へのL-PGDSの関与は小さいと考えられた。この結果はBiochem Biophys Res Commun.(Tanaka et al.378;851-6,2009)に論文化して報告した。
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