2010 Fiscal Year Annual Research Report
原発性肺高血圧症の発症機序の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
20590256
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岩田 和実 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (60305571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 邦晴 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (50420708)
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Keywords | 原発性肺高血圧症 / 活性酸素種 / NADPH oxidase / NOX1 / 遺伝子欠損マウス / 肺動脈平滑筋細胞 |
Research Abstract |
原発性肺高血圧症は肺動脈の肥厚から肺動脈圧上昇、右心肥大、心不全へと進行する難治性疾患である。 肺高血圧症の発症機序は不明であるため根治的な療法は未だ確立されていない。申請者は活性酸素種(ROS)の産生酵素として近年注目されているNADPH oxidaseの触媒サブユニットNOX1の遺伝子欠損マウス(NOX1-KO)の右心室が著明に拡張していることを見出した。肺高血圧症の発症に肺動脈平滑筋細(PASMC)のターンオーバー異常が関与することが知られている。NOX1-KO由来PASMCの培養細胞では野生型マウス由来PASMC比較してアポトーシス細胞数の減少が認められた。肺高血圧症患者のPASMCでは電位依存性カリウムチャネルの一つであるKv1.5の発現低下が、細胞のアポトーシスの抑制を誘導することが知られている。NOX1-KO由来PASMCにおいてKv1.5蛋白発現が低下することを見出した。しかしNOX1-KOでのKv1.5蛋白質の発現低下にはmRNAの変化を伴わず、プロテアソーム阻害薬を用いた検討でもNOX1の蛋白質分解系の関与は認められなかった。22年度はROSによる発現調節が報告されているmicroRNAによるKv1.5蛋白質翻訳調節の可能性について検討した。 DNAアレイを用いた網羅的解析により、4候補遺伝子が抽出された。しかしながらリアルタイムPCR法で確認したところ有意な発現変化を認めなかった。NOX1を介するKv1.5の発現調節機構は未だ明らかでは無いが、本研究にてNOX1の肺高血圧症の発症における役割を明らかにすることで未だ有効な根治的療法が確立されていない本疾患の新しい治療法の開発につながると考えている。
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