2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞における新たなグルタチオン産生調節機構の解明
Project/Area Number |
20590261
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
青山 晃治 Teikyo University, 医学部, 講師 (00420943)
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Keywords | グルタチオン / GTRAP3-18 / EAAC1 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
近年、神経細胞に存在するグルタミン酸トランスポーターの一つであるEAAC1が、グルタチオン(GSH)産生に必要なシステインの取り込みに関与することが報告された。また、我々の培養細胞での研究から、EAAC1の機能を抑制的に制御しているGTRAP3-18が細胞内におけるGSH産生を抑制していることが明らかになった。しかしこれまでに、動物モデルにおけるGTRAP3-18の役割については報告がない。In vivoにおけるGSH産生調節機構を明らかにするため、EAAC1およびGTRAP3-18を標的蛋白としたsiRNAを、それぞれマウス側脳室内に7日間持続投与した。海馬においてsiRNAによる標的蛋白の発現減少を免疫染色法およびウェスタンブロット法により確認した。海馬GSH量はEAAC1の発現量減少により有意に減少した。一方、GTRAP3-18の発現量減少は、海馬GSH量を有意に増加させた。メチルβサイクロデキストリンの5日間側脳室持続投与により、海馬におけるGTRAP3-18の発現量、およびEAAC1との結合量は増加しGSH量は減少した。以上の結果から、海馬神経細胞のGSH量はEAAC1を制御しているGTRAP3-18によって調節されていることが、動物実験によっても証明された。EAAC1およびGTRAP3-18は神経細胞に選択的に発現している蛋白質であり、GSH量の増加は神経細胞に由来するものと思われる。GSHは中枢神経において重要な抗酸化物質であり、神経変性を抑制する作用を持つことが知られている。GTRAP3-18を抑制することにより内在的に神経細胞内のGSH量を増加させることができれば、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の治療につながる可能性が期待されうる。
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