2008 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性臓器障害と交感神経:エンドセリンおよびアンジオテンシン系の役割と性差
Project/Area Number |
20590266
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
松村 靖夫 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 教授 (40140230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大喜多 守 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (60449824)
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Keywords | 虚血障害 / 交感神経 / ノルエピネフリン / エンドセリン / アンジオテンシン / 性差 |
Research Abstract |
心臓や腎臓での虚血性臓器障害に過剰な交感神経活動が関係することや種々の内因性物質が交感神経系への制御を通じて臓器障害の発症に関与するが、詳細なメカニズムは不明な点が多い。 初年度は、心筋虚血障害時のノルエピネフリン(NE)過剰放出におよぼす内因性アンジオテンシンII(Ang II)並びにエンドセリン-1(ET-1)の役割について検討を行った。心交感神経からのNE放出に対するAng IIの影響については、生理的並びに病態的条件下においてAT_1受容体を介する促進的制御機構がよく知られているが、AT_2受容体を介する作用がいかなる影響をおよぼすかについては不明である。最近AT_2受容体機能の重要性について、相次いで研究報告がなされており、特に心血管系では、心筋肥大、血管肥厚、並びに昇圧といったAT_1受容体機能に対して機能的拮抗作用を有する可能性が高い。予備的検討において、心交感神経の電気刺激によるNE放出について調べたところ、AT_2選択的作動薬のCGP-42112Aは交感神経からのNE放出を抑制することが明らかとなった。現在、摘出心虚血再灌流実験を遂行中であり、NE過剰放出におけるAT_2受容体機能を調べている。一方、心虚血に伴うNE過剰放出における内因性ET-1の役割については実験を終了しており、ET変換酵素阻害薬が心虚血再灌流障害を改善するとともに、NE過剰放出に対しても顕著な抑制効果を発揮することを確認した。現在ET-1前駆体のbig ET-1の作用についても検討しているところである。今後は、このような実験事実をもとに、AngII/AT_2受容体系やET-1/ET_B受容体系が心筋虚血時の機能障害やNE過剰放出にいかなるメカニズムを介して制御しているかについて、細胞内シグナル系や細胞レベルでの作用点の解明を目指して研究を進めたい。心血管系でのAT_2受容体を介する作用については、局所におけるブラジキニン/NO産生系との関連や異種受容体とのヘテロダイマー形成による制御など、新たな知見も見出されていることから、広い視野からの検討を目指す。
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