2009 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性臓器障害と交感神経:エンドセリンおよびアンジオテンシン系の役割と性差
Project/Area Number |
20590266
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
松村 靖夫 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 教授 (40140230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大喜多 守 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (60449824)
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Keywords | 虚血障害 / 交感神経 / ノルエピネフリン / エンドセリン / アンジオテンシン / 性差 |
Research Abstract |
研究計画初年度においては、心虚血に伴うノルエピネフリン(NE)過剰放出におけるアンジオテンシンIIの役割を中心に検討し一定の成果を得た。2年目の今回は、エンドセリン-1(ET-1)の役割について詳細な検討を行った。まず、ET変換酵素阻害薬SM-19712が心虚血再灌流障害を顕著に改善するとともに、NE過剰放出に対しても抑制効果を発揮することを確認した。以前当研究室では、心虚血再灌流時において内因性のET-1がET_A受容体/Na^+-H^+交換体系を介してNE放出に促進的に作用し、再灌流後の心機能を悪化させることを報告しているが、SM-19712によって得られた事実は以前の結果を強く支持するものであった。次にET-1の前駆体であるbig ET-1を用いて検討を行ったところ、予想に反して、big ET-1は対照群でみられた虚血再灌流後の心機能低下を著明に改善し、NE放出量も有意に抑制した。big ET-1を灌流することにより心虚血再灌流後の灌流液量が顕著に増大していたことから、big ET-1による冠血管拡張作用の関与が考えられた。そこで、再灌流後の灌流液中NOx量を測定した結果、big ET-1処置群では対照群と比較してNOx放出量が有意に増大していた。なお、big ET-1による作用は、エンドセリン変換酵素阻害薬SM-19712、ET_B受容体拮抗薬A-192621並びにNO合成酵素阻害薬N^G-nitro-L-arginineをそれぞれ前処置することにより消失した。したがって、心虚血再灌流時において外因的に加えたbig ET-1はET-1へと変換されるが、このET-1はET_B受容体に優先的に作用しNOを放出させ、その結果NE過剰放出が抑制され、再灌流後の心機能が改善するものと考えられた。なお、虚血に伴うET受容体遺伝子の発現変動の有無については現在検討中である。
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