2008 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制薬の副作用発現に関与する遺伝子の同定と機能解析
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20590268
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
春藤 久人 Kobe Gakuin University, 総合リハビリテーション学部, 教授 (70206259)
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Keywords | カルシニューリン / 特異的免疫抑制薬 / 分裂酵母 / 細胞骨格 / アクチン |
Research Abstract |
カルシニューリンは酵母から哺乳動物にいたるまで広く保存された蛋白質脱リン酸化酵素であり、FK506およびシクロスポリンAなどの特異的免疫抑制薬はそれぞれの結合タンパク質との複合体によりカルシニューリン活性を抑制することで薬理作用を発揮する。我々は分裂酵母を用いて、カルシニューリンの機能解析を行い、細胞内輸送、細胞質分裂、細胞形態形成にカルシニューリンが関与することを報告してきた。これらの現象はいずれもアクチン細胞骨格のダイナミックな再構成が関与している。Wiskott-Aldrich Syndromeの原因遺伝子産物であるWASPはアクチン重合を促進し、細胞骨格系を制御している重要な因子である。分裂酵母にもWASPホモログであるWsplが存在することに着目し、細胞極性および細胞形態形成におけるカルシニューリンの機能を明らかにする目的で、分裂酵母WASPの機能解析を行った。 その結果、1. 分裂酵母WASPホモログであるwspl^+遺伝子をクローニングした。 2. wspl遺伝子破壊株を作成した。wspl^+は致死遺伝子ではなかった。wspl遺伝子破壊株は温度感受性を示さなかったが、増殖が著しく遅くなり、免疫抑制薬FK506感受性を示した。以上の結果からwspl^+遺伝子産物が細胞増殖において必須の機能をカルシニューリンと分かち合っていることが示唆された。 3. wspl破壊株は細胞壁integrity、細胞質分裂、およびアクチン局在に異常を認めた。 このことから、分裂酵母においてもWASPが重要なアクチン制御機能を果たしていることが示唆された。
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