2010 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制薬の副作用発現に関与する遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
20590268
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
春藤 久人 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (70206259)
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Keywords | カルシニューリン / 特異的免疫抑制薬 / 分裂酵母 / アクチン細胞骨格 |
Research Abstract |
カルシニューリンは酵母から哺乳動物にいたるまで広く保存された蛋白質脱リン酸化酵素であり、FK506およびシクロスポリンAなどの特異的免疫抑制薬はそれぞれの結合タンパク質との複合体によりカルシニューリン活性を抑制することで薬理作用を発揮する。 研究代表者は、分裂酵母を用いて、カルシニューリンの機能解析を行い、細胞内輸送、細胞質分裂、細胞形態形成にカルシニューリンが関与することを報告してきた。これらの現象はいずれもアクチン細胞骨格のダイナミックな再構成が関与している。Wiskott-Aldrich症候群の原因遺伝子の分裂酵母ホモログであるwspl^+遺伝子の産物がアクチン細胞骨格の制御において、カルシニューリンと協同的に働いていることをこれまで報告してきた。平成22年度は以下の成果を得た。 1 wsp1遺伝子破壊株では、v-SNAREの局在異常、及び酸性ホスファターゼの細胞外への分泌障害がみられた。さらに、wsp1遺伝子破壊株の液胞機能を調べたところ、エンドサイトーシス及び液胞融合においても障害がみられた。 2 wsp1遺伝子破壊株のClイオン感受性を指標にして、この表現型を抑圧する変異体を数種類、取得した。抑圧変異体の原因遺伝子を同定したところ、その中にエンドサイトーシスに関与する遺伝子が含まれていた。また、このエンドサイトーシスに関与する遺伝子変異体も免疫抑制薬感受性を示した。以上の結果から、Wsplは細胞内輸送及びエンドサイトーシスにおいても、カルシニューリンと協同的に働いていることが示唆された。
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