2011 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制薬の副作用発現に関与する遺伝子の同定と機能解析
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20590268
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
春藤 久人 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (70206259)
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Keywords | カリシニューリン / 免疫抑制薬 / アクチン細胞骨格 / エンドサイトーシス / 細胞内輸送 / クラスリン重鎖 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
カルシニューリンは酵母から哺乳動物にいたるまで広く保存された蛋白質脱リン酸化酵素であり、FK506およびシクロスポリンAなどの特異的免疫抑制薬はカルシニューリン活性を抑制することで薬理作用を発揮する。研究代表者は、分裂酵母を用いて、カルシニューリンの機能解析を行い、細胞内輸送、細胞質分裂、細胞形態形成にカルシニューリンが関与することを報告してきた。さらに、Wiskott-Aldrich症候群の原因遺伝子の分裂酵母ホモログであるwsp1^+遺伝子の産物がアクチン細胞骨格制御、液胞融合、エンドサイトーシス及び細胞内輸送において、カルシニューリンと協同的に働いていることをこれまで報告してきた。これらの成果を踏まえて、平成23年度は以下の成果を得た。 1. wsp1遺伝子破壊株のクロライドイオン感受性を相補する抑圧変異体の取得を行い、クラスリン重鎖(chc1^+)の変異アリルであるswd1-1を同定した。swd1-1は温度感受性であるが、FK506感受性を示さなかった。swd1-1のchc1遺伝子の解析から、mutation siteが1459番目のtyrosineよりC末端側にあることが判明した。クラスリン重鎖のC末端部は三量体形成に重要な部位であることから、swd1-1ではクラスリン重鎖が重合できず、機能低下あるいは欠損のあることが示唆された。 2. β1アダプチン(ap12^+)およびYpt3(ypt3^+)の2つの細胞内輸送に関連したそれぞれの遺伝子変異株とwsp1遺伝子破壊株との二重変異株は、いずれもwsp1遺伝子破壊株のクロライドイオン感受性を抑圧した。以上の結果より、Wsp1がエンドサイトーシス及び細胞内輸送系に関与していること、および細胞内輸送に関連する遺伝子とWsp1との間にクロライドイオンホメオスタシスに関して遺伝学的に関連することが示唆された。
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