2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存治療薬開発に有効な新規創薬ターゲット分子の検索とその遺伝性相違の解析
Project/Area Number |
20590269
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
桂 昌司 Yasuda Women's University, 薬学部, 准教授 (80204452)
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Keywords | physical dependence / psychological dependence / L-type high voltage-gated Ca^<2+> channel / heme oxygenase-1 / heat shock protein / stress marker |
Research Abstract |
依存性薬物の種類に関係なく長期曝露により機能亢進することが明らかとなったL型高電位開口性カルシウムチャネル(HVCC)について、初年度はL型HVCCサブユニットの機能変化に影響を与える細胞内調節因子を解析する上で有用な細胞内局在の可視化法を確立した。本年度はL型HVCCの機能亢進の関わる新規ターゲット分子の検索を行うことを目的として、アルコール曝露に伴う細胞内機能性蛋白質の動態変化を2次元電気泳動法により行った。その結果、アルコールの連続曝露によりL型HVCCの発現亢進に先行して、新たに熱ショック蛋白(HSP)の1つとして知られているheme oxygenase-1 (HO-1)およびHSP70の発現誘導が認められることを見出した。またこのHSP発現の誘導は、L型HVCC阻害薬の前処置によりL型HVCCの機能亢進を遮断しておくと起らなかった。したがって、依存性薬物の長期曝露により生じた細胞内への持続的なCa^<2+>濃度の上昇が、神経細胞へのストレス負荷になっている可能性が考えられる。つぎに、アルコール曝露に伴うHSPの発現の機序を明らかにする目的で、HSPの発現調節に重要なheat shock factor (HSF)の欠損した細胞株(MEF^<-/->細胞)を用いて検討した。対照となるMEF^<+/+>細胞では、アルコールの曝露より有意なHSP70の発現増加が認められたが、MEF^<-/>細胞ではHSPの発現増加は認められなかった。またアルコールの曝露急性期より、MEF^<+/+>細胞においてのみHSFのリン酸化の亢進が認められた。以上の成績より、アルコールの長期曝露により生じる細胞内への持続的なCa^<2+>濃度の上昇によるストレスに対して、HSFのリン酸化とそれに続くHSPの発現増加を介した防御機構が存在することが明らかとなり、新規ターゲット分子の候補となり得る可能性が考えられる。
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Research Products
(4 results)