2009 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞カルシウム輸送体ファミリーの生理機能とその病態機序の解析
Project/Area Number |
20590270
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩本 隆宏 Fukuoka University, 医学部, 教授 (20300973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊豫田 拓也 福岡大学, 医学部, 助教 (80465715)
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Keywords | イオン輸送 / 上皮細胞 / 腎機能 / 血管機能 / 薬理学 |
Research Abstract |
Na^+/Ca^<2+>交換輸送体(NCX)は、細胞膜Ca^<2+>輸送を担うトランスポーターであり、細胞内Ca^<2+>ホメオスタシスの維持および種々Ca^<2+>シグナルの形成に重要な役割を果している。私たちは、種々NCX遺伝子改変マウスおよび特異的NCX阻害薬を開発・応用することにより、血管、心臓および脳におけるNCXの機能的・病態的役割の解析を行ってきた。本課題では、これらNCX研究ツールを応用し(また新たなNCX遺伝子改変マウスの作出により)、上皮組織(腎尿細管、血管内皮)におけるNCXの生理機能および病態学的役割の解明を目指す。遺伝子改変マウスを用いた機能解析から、NCX1ヘテロマウスは虚血再灌流障害に保護的であるのに対して、NCX2ヘテロマウスでは逆に悪化傾向を示すことを見いだした。この結果は、腎尿細管細胞におけるNCX1とNCX2の機能的な違いを示唆している。さらに光NCX1, NCX2, NCX3の各NCX分子種の細胞内ドメインをbait蛋白質として、マウス腎および血管内皮細胞のcDNAライブラリーを用いた酵母ツーハイブリッドスクリーニングから、新たなアダプター蛋白質(scaffold蛋白質)の同定に成功した。このアダプター蛋白質のNCX1細胞内ドメインに対する相互作用について解析したところ、このアダプター蛋白質の結合部位を同定するとともに、この結合能を欠如したNCX1変異体の構築に成功した。この変異体は腎上皮細胞における局在が野生型とは異なっており、このアダプター蛋白質は腎尿細管の極性特異的なソーティング機構に関与することが強く示唆された。
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