2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷応答におけるTIP60ヒストンアセチル化酵素複合体のダイナミクス
Project/Area Number |
20590272
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井倉 毅 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 講師 (70335686)
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Keywords | DNA損傷応答 / TIP60ヒストンアセチル化酵素 / ヒストンH2AX / ブロモドメイン / アセチル化 / ユビキチン化 / MS解析 / 蛋白質複合体 |
Research Abstract |
申請者は、TIP60ヒストンアセチル化酵素とUBC13ユビキチン化酵素との複合体が、ヒストンH2AXをアセチル化およびユビキチン化し、H2AXをクロマチンから放出させることをすでに明らかにしている。しかしながらH2AXのアセチル化がH2AXのユビキチン化を誘導するメカニズムについては不明である。ピストンのアセチル化にはプロモドメイン蛋白質が結合することが知られている。これらの知見に基づき本申請課題では、H2AXのアセチル化に結合するプロモドメインタンパク質を同定し、H2AXのアセチル化とユビキチン化のリレー修飾の分子機構を解明する。本年度は、H2AXの複合体の構成因子のMS解析により、プロモドメイン蛋白質p120を同定した。このp120は、放射線によるDNA損傷依存的にH2AX複合体に含まれることが示された。さらにp120のノックダウンHeLa細胞を作成し、放射線感受性を検討したところ、p120ノックダウンHeLa細胞は、野生型HeLa細胞と比較して放射線感受性が充進していることが明らかとなった。この結果は、p120がDNA損傷応答になんらかの関与を持つことを示している。またH2AXのアセチル化部位である、リシン5番目をアルギニンに置換したH2AXK5R変異遺伝子を導入したHeLa細胞では、DNA損傷後のユビキチン化酵素UBC13のクロマチンとの結合が抑制されることも明らかとなり、H2AXのアセチル化が損傷部位へのUBC13のリクルートに関与していることが示された。これらの結果からp120ブロモドメイン蛋白質が損傷依存的にH2AXのアセチル化に結合し、UBC13をDNA損傷部位に誘導している可能性が考えられる。今後は、この可能性を検証していく予定である。
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Research Products
(8 results)