2009 Fiscal Year Annual Research Report
鰓弓形成を司るシグナル調節因子とエピジェネティック制御機構の解明
Project/Area Number |
20590275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗原 由紀子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 講師 (80345040)
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Keywords | 発生・分化 / シグナル伝達 / エンドセリン / Dlx5 / 6 / 鰓弓 |
Research Abstract |
我々はエンドセリン-1(ET-1)が下顎領域特性を決定する因子であることを示してきたが、その分子メカニズムの解明は、細胞レベルから形態形成にいたる分子機構のモデルとして位置づけられる。本研究では、最近樹立したETARノックインシステムや初期胚のメチル化維持機構の研究で培ったエピジェネティックスの研究基盤・解析手法を用いて、鰓弓形成を制御するET-1からホメオボックス遺伝子Dlx5/6に至るシグナル伝達機構とニピジェネティック制御機構を解明することを目的とした。Dlx5/Dlx6のエンハンサー領域:mI56iは、Dlx5/6の発現のない尾、ES細胞においてはメチル化されているが、Dlx5/6の発現のある鰓弓では完全に脱メチル化され、発現のある肢芽も不完全ながら脱メチル化されていた。ホモ接合体の鰓弓では肢芽とともに脱メチル化されていた。mI56iのトランスジェニックマウスのmI56iトランスジーンでも正常、ホモで同様の結果が得られた。そこで、いくつかのヒストン修飾を検討したが、正常、ホモで明らかな差は見られなかった。これらより鰓弓においてはDlx5/6の発現のないETARホモ接合体であっても既にクロマチンはオープンの状態であり、転写活性化因子の結合等による違いが大きいと考えられた。次にmI56iに結合する分子を検討したところ、Dlx2の発現は正常とホモで大差なく、Evf2はホモで著減した。in vitroでのEvf2、Dlx6のプロモーター/エンハンサーアッセイの結果と、in vivoでのETARKO、Dlx5/6KO、mI56i-LacZ Tgマウスの各種掛け合わせの結果、さらにETAR遺伝子座へのEvf2またはDlx5,Dlx6ノックインマウスの解析から、ET-1/ETAEシグナルはmI56エンハンサーを介してDlx5/6の発現を促進するのみならず、Evf2、Dlx5/6、mI56iの間ではポジティブ/ネガティブフィードバックループを形成していることが示された。
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