2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋特異的遺伝子組み換えによる横紋筋肉腫の発生と病態の分子メカニズム
Project/Area Number |
20590276
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 昇 Mie University, 生命科学研究支援センター, 准教授 (00202135)
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Keywords | カヘキシー / 横紋筋肉腫 / 癌モデル動物 / 遺伝子改変動物 / p53遺伝子 |
Research Abstract |
ヒト癌患者は末期において半数がカヘキシーを呈する。カヘキシーは治療の妨げとなることは勿論のこと、患者のQOLを深刻に低下させている。従来、炎症性サイトカインが原因物質である報告がなされてきたが、良い自然発症動物モデルが希有であり、因果関係を明白に証明することが困難であった。私共は、ほぼ100%の率でカヘキシー再現が可能な多形型横紋筋肉腫(RMS)自家発症型の遺伝子改変モデル動物を開発し、発症機序の解明の研究を進めている。平成20年度は、カヘキシー原因物質を探索するため、自家発症で同じ遺伝子変異に由来するカヘキシーを誘導できない腫瘍株に由来する腫瘍、メチルコラントレン暴露による組織学的に同型でカヘキシーを誘導できない腫瘍株に由来する腫瘍、さらに正常組織の3種を対照群として、カヘキシーを誘導する腫瘍との遺伝子発現(マイクロアレイを用いて約44000の遺伝子について差異)を検討した。RT-PCR,ノザンブロット法によって4遺伝子に限定した。その結果、分泌性因子として複数候補を同定した。胎盤特異的遺伝子、食欲中枢制御因子、心筋梗塞のマーカー遺伝子などに分類されるものであった。既報の炎症性サイトカイン遺伝子発現に有意差はなかった。次年度、カヘキシーとの関連を機能的に解析するためにRT-PCRにて遺伝子の全長cDNAをクローニングし、全長の塩基配列を確認した。興味深いことに、有力候補の遺伝子には、培養条件で発現せずに動物に移植し腫瘍塊形成後にのみ発現する遺伝子があることを見いだした。
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