2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによって生じるD-アスパラギン酸含有蛋白質の動態とその代謝機構の研究
Project/Area Number |
20590278
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木野内 忠稔 Kyoto University, 原子炉実験所, 講師 (90301457)
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Keywords | フォールディング病 / 酸化ストレス / D-アミノ酸 / 老化 / ラセミ化 / ミトコンドリア / タンパク質分解酵素 / アミロイド |
Research Abstract |
生体内でのD-アスパラギン酸(Asp)含有蛋白質の動態を調べるにあたり、まず、その特異的な分解酵素であるD-Aspartyl Endopeptidase (DAEP)の基質特性について詳細に検討した。なぜなら、DAEPを用いて新規のD-アスパラギン酸含有蛋白質の探索が高精度に実現できるからである。様々な合成基質を用いてDAEPの基質特異性を検討したところ、L-α-AspやD-α-Serを含む合成基質は分解しなかった。そこで、ラセミ化や基質の長さ、周辺配列がDAEPの基質特異性に及ぼす影響について調べるため、αA-クリスタリンの部分配列(Thr-Val-Leu-Asp-Ser-Gly-Ile-Ser-Glu-Val-Arg)をモデルペプチドとして、4残基目のAspをそれぞれL-α-Asp、L-isoAsp (L-β-Asp)、D-α-Asp、D-isoAsp (D-β-Asp)に置換したものを合成し、その切断活性を検討した。αA-クリスタリンの部分配列をモデルペプチドとした理由は、実際に老化した水晶体からラセミ化したAsp残基を含むαA-クリスタリンが発見されているからである。実験の結果、D-α-Aspを含むペプチドのみDAEPは分解し、他のペプチドは分解しなかった。次に、40残基からなるアミロイドβ蛋白質を基質に用いてDAEPの分解活性を検討した。その結果、7残基目にD-α-Aspを含むアミロイドβ蛋白質を分解した。以上の結果から、DAEPはD-α-Aspを含むペプチド性基質に非常に高い基質特異性を示すことが明らかになった。現在、DAEPを用いた効率的なD-アスパラギン酸含有蛋白質の探索系の開発を行っている。
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