2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによって生じるD-アスパラギン酸含有蛋白質の動態とその代謝機構の研究
Project/Area Number |
20590278
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木野内 忠稔 Kyoto University, 原子炉実験所, 講師 (90301457)
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Keywords | フォールディング病 / 酸化ストレス / D-アミノ酸 / タンパク質分解酵素 / ラセミ化 / 老化 / 古細菌 / アフリカツメガエル |
Research Abstract |
蛋白質のアスパラギン酸(Asp)残基は、酸化ストレスによって非酵素的にラセミ化(D化)し、それがきっかけとなって蛋白質が変性する。したがって、我々が哺乳類より発見したD-aspartyl endopeptidase (DAEP)は、加齢と共に増加するD-Asp含有蛋白質に対するスカベンジャーであると考えている。哺乳類は、長寿で活発に生命活動を行う一方で、体内で酸化ストレスが亢進することから、蓄積するD-Asp含有蛋白質に対し、 DAEPのような品質管理システムを進化の過程で獲得したものと推測している。そこで、哺乳類以外の生物種におけるDAEP活性を調査し、DAEPの進化的な起源を探ることにした。調査した生物種は、Thermoplasma acidophilum、 Archaeoglobus fulgidus、 Pyrococcus horikoshii、 Thermococcus celericrescens(以上、古細菌)、Thermus thermophilus(グラム陰性真正細菌)、サバ(卵)、ニワトリ(卵、肝)、アフリカツメガエル(卵)である。上記古細菌とT. thermophilusは高度好熱菌であり、遊離アミノ酸に対するラセマーゼを発現していることからDAEPの存在が期待されたが、その活性は検出限界以下であった。一方、ニワトリ肝、サバ卵、アフリカツメガエル卵からは高いDAEP活性を検出することができた。大腸菌、酵母、線虫ではDAEP活性がないことをあわせて考えると、DAEPは生物進化の比較的新しい次期(4-5億年前)に出現した特異な分子であると考えられた。また、これまでDAEPを抗ストレス機構としてとらえてきたので、サバ卵、アフリカツメガエル卵からDAEP活性が検出されたことは、初期発生においてもDAEPが生理的に機能していることを示すのもであり、非常に興味深い。
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Research Products
(9 results)