2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590280
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島 扶美 神戸大学, 医学研究科, 講師 (60335445)
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Keywords | インシリコ / 創薬 / Ras癌遺伝子 / シグナル伝達 / 癌 / 低分子量G蛋白質 |
Research Abstract |
GTP結合型Rasのエネルギー的に安定な2つのstate構造(state1とstate2)の遷移メカニズムを解析するために、GpPNHp結合型のM-RasP40D(state1),M-RasD41E(state1とstate2),H-RasT35S(state1)のX線結晶解析を行った。ヌクレオチド周辺の分子内相互作用を詳細に解析した結果、H-Ras, M-Rasに共通のstate2構造の特徴として、switch Iに存在するThr-35/45(H-Ras/M-Ras)とGppNHpのγ-リン酸との永素結合と、switch Iに存在するGly-60/70(H-Ras/M-Ras)とγ-リン酸との水素結合が、ともに保存されていることが確認できた。一方state1構造では、Thr-35/45とγ-リン酸との水素結合が欠損することで、Rasのswitch Iのループがヌクレオチドから遠ざかることが共通の構造的特徴であった。また、2つのswitch領域の構造は、ヌクレオチドを介して互いに影響しあうことも明らかになった。M-RasD41E-GppNHpの結晶構造解析では、1種類のポリペプチドに由来する2種類の異なるstateに対応する立体構造がRasで明らかになる初めての例となった。この結晶解析では、switch I, switch II以外にswitch Iのアミノ末端側に位置するpre-switch領域、switch IIに近接するα3ヘリックス、ならびにPループがstate構造の遷移に重要な役割を果たすご、とが示唆され、Rasの構造遷移にはグローバルな構造ダイナミックスが関与していることが明らかになった。これらの領域のstate遷移における重要性は、H-Ras型アミノ酸置換を導入した種々の変異体M-Rasの^<31>P-NMRにより立証された。
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Research Products
(5 results)